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SS公開のご案内(試し読み)と今後のサークル方針のお知らせ(2019/10/23追記)


2016年参加ニンジャスレイヤーオンリーイベント「ニンジャ万博・ザ・ファイナル」にて無料配布済のリー先生とブルーブラッドのシリアスSS『Lullabies from Hell』をこちらのサイトにて公開いたしました。
(R18G。#1~2まではパスワードなしでご覧いただけます。※ご利用の場合はサイト内の規約をお守りください。)

※ゾーニング・レーティングのしやすさから、今後、限定公開&売り切れ分のニンジャスレイヤー同人作品(イラスト・漫画・小説)の格納・公開は以降上記サイトにて行っていく予定ですので、引き続きよろしくお願いいたします。

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『Lullabies from Hell』試し読み


『―僕はだれだ?』
ブルーブラッドは、夢から醒めても依然としてまどろみの中を漂っていた。
上下の感覚がない。
自分はリー先生先生の助手・ブルーブラッド。フジミ・ニンジャの憑依者。昔の名前は…どうでもいい。
そうだった。とっても重要な事だからすぐ思い出せてよかった。─―”すぐ”に?いつからを基準にしているのだ?基準が不明なら”すぐ”とは言えないではないか?
『僕、どうなったんだっけ?』
蛇だ。蛇が僕とリー先生先生の楽園を壊したんだ。
記憶が蘇り、ブルーブラッドの全身に怒りと嫉妬の炎が駆け巡った。
そして、悪い夢だと思っていた先ほどまでの情景は、牢に幽閉される直前のINWでの会話だったことに気づいた。
「先生」
ブルーブラッドは心に映るリー先生・アラキに呼びかけた。
「……………ずっとここにいましたよ。センセイ。貴方の言いつけ通り。ずっと」
満足そうに微笑む。―が、うまく顔面筋が動いていないような気がした。
しかし、自分はどのような事態になろうと、誰より尊敬する彼のためならばどんな状況にも耐えられるし、実際耐えている。しかし、現在の己の状況を把握していく中で、現在の状況があまり芳しいものではないという確信が強固なものとなって、腹の底にふつふつと怒りが湧いてくるのだった。
『軟体動物の分際で先生と僕の楽園をよくも!ドロドロぐちゃぐちゃの低能な脳みそしか持ってないくせに』
ブルーブラッドは毒づいた。クラーケンのしわざであろう。天井が崩落し、ブルーブラッドは瓦礫の下敷きになっていた。命令を順守した結果だった。
『しかし、地下牢とはいえ、暗すぎる』
自分はニンジャであり、同時に吸血鬼だ。夜目には自信がある。しかし…非常用のライトが付くのを待っていたが、一向に視界が改善されなかったので、彼はある仮説を立てた。
『眼が潰れているのかも?』
ブルーブラッドは痛覚が無い分、身体感覚を意識的に行う必要があった。たしかに視神経・眼筋等々の反応がない。右か?当たりだ。なるほど。左目もだ。ブルーブラッドはすぐさま神経と血管を伸ばして眼球を復元させた。
しかし、幾ら瞳を動かしても焦点が合わない。瞳孔の調節も試したが徒労に終わった。
『まずいぞ』
視界が大体90度ずつ、別方向の景色を写している。どうやら眼窩を飛び出してしまっているらしい。やれやれと視神経の周りに筋肉を形成し、ズルズルと脳側へ引っ張った。眼球は唯一外気に露出している臓器だ。神経が集中しており、もし痛覚を有したままで床の上を移動させることになっていたらさぞ痛かったであろう。これも先生のおかげ。感謝と優越感がブルーブラッドの胸を満たした。とは言え、喩表現ではない方は、瓦礫の下でネギトロとなって血をぶちまけている。彼の身体はもはや修復不可能になっていた。理論上は可能だが、この状況でその判断は賢明では無い。本体の修復に専念したほうが良さそうだ。ブルーブラッドの高い演算能力は瞬時に判断を下した。
痛みはないが、無計画に再構築した眼球が乾いて不快なので、一先ず瞼と涙腺を作った。しかし、ほのかに満たされる心と、潤う瞳とは裏腹に、幾ら自我の方向に眼球を引き寄せてもチグハグとした視界は元には戻らなかった。
『思った以上にバラバラだな』
圧迫された頭蓋骨が開放骨折し、その亀裂から、パックごと落とした低品質トーフめいて噴出し、胴体同様に脳自体も崩れて周囲に散乱していた。
脳自体には痛覚は無いが、その周囲には神経が無数張り巡らされているので、この場合もまた本来なら破片の衝突時に激痛を伴っていたはずであると、ブルーブラッドは再び優越感に浸った。
『おっと、いけない…』
陶酔もそこそこに、ブルーブラッドは辺り一帯に散らばった己の頭部に筋繊維を伸ばしてはカラテを流し込み、粘菌めいてうごめいて周囲にその神経を張り巡らし、血管やリンパ管を形成させて彼の実質的な最後の砦を黙々と繋合わせていった。
脳が瓦礫の山の外側へ、それぞれがそこそこの大きさを保ちながらバラ撒かれたのは不幸中の幸いであった。もし、完全に下敷きになっており、頭部を再形成させるためのスペースを手近な場所に確保出来なかったなら、場所探しのため闇雲に瓦礫の隙間を這いまわることとなり、回復作業に前段階で時間を大幅にロスしてしまっていただろう。
ブルーブラッドの本職は医学者だ。尚且つ、歳若くして天才リー先生・アラキの腹心となる程の優れた頭脳と確かな外科技術を持っている。ゾンビーニンジャ故に痛覚が無く、極めて高い回復能力と、生前からの技巧をブーストさせているニンジャ器用さも相まって、多少の時間と条件は必要であるのだが、このテの修復作業というものは彼にとっては何の事はないベイビーサブミッションだ。但し、その首が胴体にさえ繋がっていれば──
いかにフジミ・ニンジャをその身に宿す彼をしても、一度身体を失ってしまえば非常に危険な状態に陥ってしまうのだ。ブルーブラッドは急いだ。しかし―
『あ…もう…』
時間切れか。ブルーブラッドは舌打ちをした。舌もちぎれ飛んでしまっているが。
非常用ライトの光に照らされた蠢き震える血膿の小山の中、ブルーブラッドの意識が再び遠のき始めた。

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pixivも開設しました。ウキヨエのみですが、見やすいのでこちらもよろしければ。

追記:キャラ名で小説検索かけて0件で悲しかったので↑をpixivへも投稿しました。#2までオープン記事になっています。

Lullabies from Hell | 閉眼〆幻想 https://www.pixiv.net/novel/series/1197145


関連記事 https://note.mu/closed_h/n/n1b8ec07bb400(漫画とBOOTHのご案内)


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