読解の技術⑮~前置詞+関係代名詞~
(1)通常の関係代名詞との違い
関係代名詞は通常以下の形をとる。
先行詞(関係代名詞+不完全文)
関係代名詞の後ろが不完全文になるのは、関係代名詞自体が後ろの文の名詞(S・O・C)の働きをして先行詞の直後に移動しているからである。
ex. a boy ([who] is running over there)
→whoが( )内のSになっているので、後ろ(太字)はSがない不完全文になっている。
ex. a boy ([whom] I met at the station)
→whomが( )内のOになっているので、後ろ(太字)はmetのOがない不完全文になっている。
しかし、関係代名詞に前置詞が付いている時がある。そのとき、以下の形になることに注意。
先行詞 (<前置詞+関係代名詞>+SV(完全文))
これは関係代名詞に前置詞がついたことにより「前置詞+名詞=文の要素にならない」が発動したため。( )内で“前置詞+名詞”という文の要素にならないものが先行詞の直後に移動しても、後ろの文には何ら影響がないのである。
(2)使える関係代名詞
“前置詞+関係代名詞”の形で使える関係代名詞はwhom/whichの2つだけである。
(3)誤訳の危険性
前置詞+関係代名詞は誤訳が頻発する。たとえば以下の文を見てほしい。
ex. a woman behind whom I was sitting
この文でよく起こる誤訳が「私の後ろに座っていた女性」である。
実際は「私の前に座っていた女性」と訳す。こうした誤訳を生まないためには、元の文を意識する必要がある。
(4)元の文に戻す方法
ex. a woman behind whom I was sitting
[手順①]まずは関係詞節を認識。前置詞+関係代名詞からが関係詞節。
a woman (behind whom I was sitting)
[手順②]関係代名詞に先行詞を代入。“前置詞+先行詞”の形を作る。
behind whom= behind a woman
[手順③]“前置詞+先行詞”を後ろの文(関係詞節)の適切な場所に補う(大体文末)。
I was sitting <behind a woman>.→元の文完成!!
[手順④]元の文を訳してみる。
I was sitting <behind a woman>.=私は女性の後ろに座っていた。
[手順⑤]元の文の意味を把握した上で、先行詞を説明する訳を作る。
元の文=私は女性の後ろに座っていた。
↓
つまり、女性は私の前に座っていた。
したがって訳は「私の前に座っていた女性」になる。
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