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最高傑作のなり損ない――新しいゲームの旅:サガ エメラルドビヨンド

「ドラゴンクエスト」の発売から、38年が経ちました。
戦闘でコマンドを選んで、敵を倒して強くなる、いわゆるJRPGは、コンピューターゲームのメインストリームとは言い難くなってきていますが、様々な形に発展して、今も作られつづけています。

リッチ化した画面演出に噛み合いにくいコマンド戦闘を脱却するタイトルも少なくない中、ゲームボーイの「魔界塔士Sa・Ga」に端を発するサガシリーズは、面白いコマンド戦闘を突き詰め続けています。

先月末、2024年4月25日に発売された8年ぶりの最新作「サガ エメラルドビヨンド」(サガエメ)も、前作「サガ スカーレットグレイス」(サガスカ)を更に発展させた戦闘に熱くなれるタイトルです。

過去のシリーズ作品から復活した要素もあり、遊びがドカ盛りの本作は、サガシリーズの集大成という触れ込みも嘘ではなく、コマンドバトルが最高に面白いゲームの1つとして数えられて良い出来だと思います。思いますが……、私は本作を素直に人に勧めるには、今はかなり抵抗があります。出来の悪い部分が看過できない程度に足を引っ張っているからです。端的に言うと、動きが鈍いのです。

70時間ほど遊び、3人目の主人公で遊んでいる途中ですが、私の中での評価が固まり、プレーをやめる事を決めたので、どの辺が最高傑作で、どの辺がなり損ないなのかという話しを、サガスカとの比較と交えて書いていきたいと思います。

いわゆるJRPGを遊んだことがあれば、サガシリーズを知らなくてもわかるように書いています。


「タイムラインバトル」は、JRPGのコマンド戦闘の頂点の1つである

JRPGのコマンド戦闘の基本的な流れは、「各キャラの行動を選択したらターンが始まり、概ね素早さが大きいキャラから順に行動する」というものです。サガシリーズも、そこから始まっています。

ここから発展して、色んなゲームが色んなルールの戦闘を作りました。FFの「アクティブタイムバトル」、女神転生やペルソナの「プレスターンバトル」などが有名です。

サガシリーズでは、前作のサガスカから、「タイムラインバトル」を導入しています。ターン制の戦闘ですが「そのターンの時系列が前もって提示される」というものです。

サガスカでの「タイムラインバトル」

まず前作であるサガスカの話から。

コマンド選択の時点で、このターンの行動順がタイムラインとして表示されます。敵のアイコンにカーソルを合わせると、敵の予定行動もわかります。

画面下のアイコンの、左から順に行動

サガスカで一番大きい戦闘のギミック「連撃」は、敵を倒してタイムラインから消滅させた時、その結果として味方同士の行動が隣接したら、予定されていた行動とは別にダメージを与えることができる、というものです。

連撃が目立ったタイムラインバトルですが、元々のサガシリーズの遊びだった

  • スタン技(そのターンの行動をできなくさせる)

  • プロテクト技(敵の攻撃を受けて無効化する)

  • カウンター技(防御技に加えて、反撃もする)

などが、「前もって敵の行動とタイミングがわかる」事で、「狙って敵を妨害できる」感じが大きく増して、毎ターンの行動を考えるのがより楽しくなったのが良かったと思っています。

加えて、新たな要素の

  • パンプ技(敵の行動順を遅らせる)

  • インタラプト技(特定の敵の技の手前に割り込んで行動する)

が、ターン開始後にタイムラインの並びを変えるので、うまく活用して、

  • パンプした上で、遅いスタン技で動きを止める

  • インタラプト技でトドメをさして、そのキャラも連撃に加わる

という感じで、「タイムラインを操作して最大の戦果を得る」という遊びも楽しいです。

サガエメでの「タイムラインバトル」

サガエメでは連撃は廃止され、シリーズおなじみの「連携」ができるようになりました。

連携が発生する条件はシリーズの作品ごとに異なりますが、今回の条件は、見た目にとてもわかりやすいものです。

技に連携範囲が設定されていて、タイムラインの下に表示されます。これをつなげると連携できます。

これだと手前の2人の2連携だが…
これだと領域がつながって3連携!

連撃は敵を倒した時だけ発生するものでしたが、連携は毎ターンでもキメていくことができます。

敵も連携できるので、うっかり敵が連携しそうなのにそのままにしてしまうと、大ダメージを受けてピンチに陥る事もあります。パンプやインタラプトはサガエメにもあるので、それらで妨害することができます。

他にも本作で追加された面白い要素は他にもありますが、それは後述します。

ターン制の遊びを突き詰めた先に見る、アナログゲームの存在

ターン制の遊び、手番の概念がある遊びというのは、コンピューターゲームに限らず存在します。

例えば野球もそうです。有効なプレイをした場合に手番を継続できる仕組みは、先述のプレスターンバトルと似たところもあるように思います。

ターン制の遊びの頂点の一つと言って良いカードゲーム「マジック・ザ・ギャザリング」には、インタラプトというカード種別がありました。相手プレイヤーのターン中に、相手が起こした行動に対して「割り込んで」実行させる事ができる呪文です。後にカード種別が整理され、今はインスタントのカード種別でほぼ同じことができます。サガスカでインタラプト技の存在を知った時、私が最初に連想したのがこれでした。ターン数が進むにつれてコストの高い行動を多く取れるようになるのもマジック・ザ・ギャザリングと似ています。

また、サガスカ・サガエメにおいて、敵がカウンター技やインタラプト技を使ってくる場合、その敵が使ってくる技は、コマンド選択時点では伏せられています。プレイヤーは伏せられた行動を予測して、できるだけ邪魔されないように自分の行動を考える必要があります。これも遊戯王カードのトラップに代表されるような「伏せカード」が連想されます。

タイムライン右端の敵の「???」は、何かしてくるけど不明という意味

つまり、タイムラインバトルは、RPGのコマンド戦闘の中でも、カードゲームに近づいていく事で、複雑さによる面白みを生み出しているバトルシステムだと見ることができるのです。タイムラインの上にキャラクターのコマを置いて行動を解決しているのだと考えると、ボードゲームとの類似を見ることもできます。

サガスカはマップも盤上に村や洞窟のコマを置いたようなビジュアルで、ガイドブックの開発者インタビューでもTRPGへの言及があります。実際にどの程度参照しているかはわかりませんが、サガの開発チームの中にはアナログゲーム(カード、ボード、TRPG)への視線がある程度ありそうです。

アナログゲームは、意匠の凝ったゲーム盤やカードやコマも魅力ですが、物理的な制限の中で、どう面白くするかというのを、色んな人が考えて作って、進化を続けているジャンルです。コンピューターゲームと比べると、「こういうルールでやってみよう」の具現化が短時間でできるので、試行錯誤がたくさんできるという利点もあります。そうして年々発展しているアナログゲームのエッセンスを、コンピューターゲームにうまく取り入れる可能性を、タイムラインバトルからは感じます。

ここが良いよねサガエメ

要素ドカ盛りなのに適度にあっさりしているバランス感

サガエメは、サガスカから引き続き、シリーズ定番の要素が複数入っています。

  • ひらめき:戦闘中に突然新しい技を覚える

  • 陣形:隊列を1つ選んで有利な効果を得る

  • ロール:キャラごとに有利(不利)の特徴付けができる

などです。これに加えて、サガスカにはなかった、

  • 連携

  • 種族

も入っています。

サガシリーズの種族は、大まかに以下のような特徴を持ちます。

  • 人間は戦闘終了後にランダムに成長

  • メカは戦闘で成長しないが、装備した武器防具で強さが変わる

  • モンスターは倒した敵モンスターの肉を食べて要素を取り入れる

メカは武器を大量に装備して火力の鬼にできる、これもシリーズ伝統

細部は各作品で違いますが(全員人間扱いの作品も多い)、サガ2秘宝伝説の時に固まったこの形がおおむね引き継がれています。これに加えて、

  • 「短命種」はLPが減るごとに成長してLPが0になったら生まれ変わる

  • 「クグツ」はひらめきの代わりに他人の技を見てコピーして覚えられる

というように、新たな特徴を持つ種族も登場しました。

多くの武器種、多くの技や術、成長のルールが異なる複数の種族、陣形、ロール…。シリーズを遊んできた私でも面食らった程度に、本作は要素が多いです。

しかし、少し触って行くと、要素の多さの割に、毎回のバトルの感触はそこまで重くない(タイムライン操作は考えることは多いけど)感じがします。

実は、多くの要素があるサガエメですが、そのほとんどの要素は「触っても触らなくても良い」ものです。

  • 武器は、例えば全員長剣だと対応しづらい状況はでてくるけど、2〜3種あればだいたいの状況に対応できて、勝てる

  • 全員人間でも勝てるし、全員メカでも勝てる

    • バトルメンバーは5人だが、主人公も5人から外すことができる

  • 連携は強いが、連携にこだわらなくても、単純に強い技で殴ったり、カウンターを狙ったりと、勝ち筋が複数ある

  • 初期陣形の連携陣が強い

    • 連携に参加したメンバーに次のターンで技コスト割引

    • 私は最初のプレイではほぼ全戦闘を連携陣で勝った

といった感じです。その上で、それぞれの要素について理解が進むと、それらを組み合わせて(ここがめっちゃ楽しい)強敵にも立ち向かっていける。そういうバランスです。

また、過去の作品と比較すると、

  • サガスカでは術の習得には杖装備が必要で、狙った術を習得するためには自分の属性と戦闘フィールドの属性と杖の種類を調整する必要があったが、サガエメでは簡略化された

  • 初期シリーズやサガフロには銃器に弾数の概念があったが、サガエメにはない

など、要素を追加するだけではなく、複雑になりすぎないように差し引く事もしているのが見て取れます。

こういった絶妙な調整のおかげで、要素が多いサガエメは、その要素に反して重くなりすぎない感触になっているのです。

選べるようになった課題

サガスカの戦闘では、戦闘前に「その戦闘の課題」が提示され、戦闘中に課題を達成すると報酬が増える、という仕組みがありました。

サガエメにも課題はありますが、「課題を選べるようになった」という大きい変更が入っています。

この黄色いモンスター「せんせい」の出典は、サガ2秘宝伝説。まごうことなきおっホイ。

最初は課題を選ぶのも面倒ですが(オートにできる)、敵の種類がわかってから課題を決定できるので、敵の知識が身についてくると、

  • この敵は全体攻撃をしてくるからプロテクト技が発動しやすい→プロテクト技の課題にしよう

  • この敵はインタラプト技を持っている→連携の課題は避けよう

といった判断ができるようになってきます。考えて決めた課題を戦闘中に達成して、報酬がドッサリもらえた時の喜びは、勝利の喜びの中でも格別です。

一度達成した課題は、短くても数回の戦闘の間選択できなくなるので、異なる課題を選択する必要があり、これが、ゲーム内の様々な要素や戦法に触れる機会も生み出しています。

「独壇場」という発明

ここまでに紹介していないサガエメの新しい要素に「独壇場」というものがあります。端的に言うと「一人連携」で、「タイムライン上で前後2マスづつに誰もいない状態で行動する」と発動し、持っている技を連続で発動します。

サガエメのタイムラインは12マスで、味方5体と敵1〜5体が並ぶので、「前後2マスづつに誰もいない状態」は、そう簡単にはできません。

時々近い状況ができて、技の選択で行動順を調整して発動…といった事もできますが、独壇場システムが最も熱くなるのは、激しい戦闘の終盤です。

サガエメではHP回復の技や術がない事もあり、キャラクターが他のゲームと比べて頻繁に戦闘不能になります。戦闘不能になったキャラはタイムライン上からいなくなります。

激しいバトルの終盤では、味方2体と敵1体だけがタイムライン上にいる、といった状況が生まれます。12マスの上に3体しかいない。独壇場を狙う大きいチャンスです。

独壇場は1ターンに敵味方通して1人だけが発動できるので、この場合敵キャラと2人目の味方キャラは発動しない

連携だけを考えると、味方が減る戦闘終盤は、長い連携が起こせず、大きいダメージを与える事を望みにくくなります。しかし、ここに独壇場システムがある事で、最後の最後で大逆転して勝利!という、JRPG戦闘の醍醐味のような展開が発生しやすくなっています。敵の独壇場発生を防ぐ駆け引きも含めて、地味になりがちな戦闘終盤を盛り上げる大発明だと思います。

先日発売された攻略本「翠の導きの書」の巻末インタビューでも、ディレクターの河津さんが「タイムラインバトルに独壇場を組み込むことで完成度が上がった」と言っていまして、頷くばかりです。

過去一「陣形」を活用するサガ

サガエメの陣形の効果は、過去のシリーズと比較してもとてもわかりやすいです。陣形選択画面で、5人それぞれが選択した陣形で受ける効果を確認することができます。過去作では攻略本でかろうじてわかった部分です。

画面右、例えば1,2番はトドメの次のターンに技コストが下がる

また、様々な陣形を活用できる材料も増えています。

  • 殴りが強い敵に対応するために、1人が目立つデザートランスにして、盾役はずっとプロテクトかカウンター

  • 術の課題を選んだので、術が強いパワーレイズにする

  • 短期決戦の課題を選んだので、最初から多く動けるエレメンタルパワーにする

といった感じです。過去作だと、2〜3の陣形だけ使って後は使わない、みたいな事が多かったのですが、サガエメでは多くの陣形に出番があります(それでも半分くらいかなあ…数が多すぎるんよ)。

レベル上げ周回の代わりにゲーム自体を周回するという構造転換

私はサガスカのレオナルド編を70時間くらいかけてクリアしました。サガエメでは、ディーヴァ編を33時間でクリアしました。1プレイを数時間でできたサガフロほどではありませんが、1プレイの所要時間が短くなっています。

クリアしたらデータを引き継いで次のプレイを始める事ができます。サガエメでは引き継ぎ項目を細かく指定できますが、おすすめの設定では、敵の強さ以外は全て引き継ぎます。

主人公ごとに主要な仲間キャラが違うので、別の主人公を選ぶと概ね1からの育成になりますが、それでも、前回のプレイで入手した強力な装備品が全部使えるので、特に最初のうちは、かなり楽に進められます。

この強力な引き継ぎと1プレイの短さは、サガエメがプレイヤーに対して「周回して遊んでね」と促しているようです。また、以下のような物語進行の特徴があります。

  • ラスボスと戦えずに途中で終わってしまうバッドエンドのようなものがある

    • シリーズでも珍しい(たぶん初めてのはず)つくり

  • 1プレイで全ての世界には行けない(場合もある)

    • 世界は一度入るとクリアするまで出られない

      • サガ2秘宝伝説に近いイメージ

    • 世界を移動する時、提示される選択肢から選ぶ

      • 展開によるが5個くらい、ランダム性もある

    • 展開によるがクリアしていくとラスボスフラグが立って他の世界に行けなくなる

  • 1つの世界でも起きることは様々

    • 主人公によって違う

      • 特別な展開もあるし、ない場合でも主人公のセリフは違う

    • プレイヤーの選択に寄って展開が分岐する

    • プレイを重ねると異なる展開になる

そういった物語の分岐展開の探索も含めて、サガエメは周回プレイをして遊ぶゲームだと言えそうです。

サガスカの70時間は、実はその半分程度がフリーバトル、つまり物語の障害としての戦闘ではなく、強くなるための脇道の戦闘でした。サガスカのラスボスが「戦えるようになるのは早いがすぐ戦っても勝てないくらい強い」だったし、単純に強くなっていくのに充実感があり、まだ乱れ雪月花(大剣最強クラスの技でとても格好良い)覚えてねえ!みたいなのがあったので飽きることは全然なく無限にカエルをしばいていられました。

サガエメではフリーバトルはほぼしていません。ディーヴァでラスボスを倒した時も、一度負けはしたものの、編成の見直しをすれば勝てる、適度な強さのラスボスだったから必要がありませんでした。また、覚えていない技は次のプレイで覚えれば良い、手に入れてない武器も然り、という感じで、1プレイで要素を遊びきらなくても良いと考えられたからです。

同じ敵を延々しばき倒すのもそれはそれで没頭できる遊びなのですが、今回は戦闘を周回するよりゲームプレイ全体を周回すれば良い、それが楽しめる作りになっているから、ということですね。

ここは人を選ぶかなサガエメ

戦闘が重い

サガエメは戦闘に時間のかかるゲームです。

後述する重大な欠点とも関わっているのですが、コマンドを入力するのも結果を見るのにも時間はかかります。しかし仮にそこが短時間で済ませられたとしても、「考えるのにかかる時間」はどうしようもありません。

ここまでに語ってきた多くの要素を踏まえて、この場を切り抜けるために、課題を達成するために、キャラクターを成長させるために、このターン何をするべきなのか。同じ状況はほぼ訪れないので、毎回何かしら考える事になります。考えるのが楽しいゲームなのですが、考えるのが重いゲームでもあります。

そうした1ターンが、何個か積み重なって戦闘が終了しますが、所要時間として、ざっくり10分から20分程度は見る感じになると思います。

時間もそうなのですが、この「毎回考える」は、結構しんどいです。加齢のせいもあるかもしれませんが、毎回ある程度考える必要のあるサガエメを、私は仕事に疲れた夜は手に取る事ができませんでした。元々私は「一度しっかり考えたら、その遂行に関してはサクサク行える」タイプのゲームが好きなので、その好みから外れてるという事でもあります。

ここは駄目だよサガエメ

UIが重い

えっそんな事?って思われるかもしれないのですが。でも私がモチベーションを削られていった理由を考えるとここになっちゃうんですよね。

これ、わざと動作を遅らせたりはしていません。ほぼ最速で動かしてこれ、です。

サガエメはコマンド入力画面にタイムラインを出す必要がある都合、残りの縦幅だと狭く、8個まで装備できる技を全て表示することはできない。この都合はわかるんですよね。1個1個の縦幅もこれ以上小さいと見づらい。

でも、それはコマンド選択に時間をかける理由にはならないと思います。こんだけ重いと、上から7番目のディフレクト、選びたくなくなります。ここまで説明してきた凝った戦闘のために、8個の技から1つづつ検討したいのに、この切り替えのストレスを考えるとそれもちょっと躊躇ってしまいます。

重いのは戦闘だけではありません。ここまで触れていませんが、本作は店の代わりに、マップのメニュー画面からメルカリみたいなトレードが出来ます(マルチではなくゲーム内NPCとの取引)。その動作がこれです。

画面の切り替えが一拍遅い感じがします。メニューのメイン画面からだと5回くらい切り替えがあるので、積み重なると結構時間かかっている感じになります。そして、普通にプレーしていると、1回のバトルが終わるごとに、トレード枠分(動画では4つ)の交換受取と交換出品をする必要があります。手早くやっても2分はかかるイメージでしょうか。

重いのはトレード画面だけではなく、先述した課題設定の画面も、だいたい同じくらい重いです。なので、バトルとバトルの間に、毎回数分の準備時間が必要になってしまうんですよね。パーティ編成とは別に。

画面構成の工夫で切り替えの回数は減らせるはず(動画を見てもらうと、画面の右側はあまり使ってない事がわかると思います)だし、1個1個の動作について遅い理由はここはあんまりないんじゃないのか、と思ってしまいます。画面がシンプルなので。

JRPGでUIのレスポンスが話題になる事はあまりないと思いますが、JRPGはアクションゲームなどではないので、ゲームのモチベーションを支える重要な要素である「基本動作の気持ちよさ」が得られるかどうかというのは、ずっと繰り返して触るUIで決まるんですよね。「繰り返し操作をさせるゲームで、その繰り返し動作のストレス低減をサボるなよ」。サガエメの不満として私が一番言いたいのはこれです。(様々な事情があるので、サボったと断言はできませんが)

UIに関してはこういう事もありました↓

私が近年はまりこんだゲームだと、Oxygen Not IncludedはUIにアニメーションがなく、スクロールしないと見られない要素がほぼなかったので(マップのスクロールはそれなりに大変)、この手のストレスはありませんでした。また、Path of ExileはそもそもARPGなのでUI操作をする状況が限られていますが、やはりアニメーションはなく、操作するアイテムごとに違う音がなって気持ちいいとか、UI動作が不便なところはアップデートで改修されていくという良さがありました(運営型ゲームにはUIを改善する動機と原資があるので、比較するのはややアンフェアではある)。

ターン開始が重い

サガエメでは、コマンド入力を完了させてから結果が表示され始めるまでの間に4秒ほどの間があり、その間に味方キャラが敵に走っていくシーンが入ります。

実はサガスカにも同様の間があり、敵味方のキャラのカットインが入ります。最初にでたVita版はこれが長く、5秒以上、長い時は10秒以上待たされていたと思います。とてもストレスで、私がVita版のクリアを諦めた理由の1つです。しかし、アップデート移植版の緋色の野望ではこれが半分程度に短縮され、私も緋色の野望はクリアすることができました。

サガスカでの経験は、やっぱり快楽密度は重要なんだなあと再確認する機会になりました。1秒、1分、1時間の中に、どれだけの快楽があるか。同じゲーム体験でも、待ち時間が長いと快楽密度は下がり、それがモチベーションの低下につながるという事です。

サガエメをプレーしたあとサガスカの戦闘画面を見ると、元がVita向けだったサガスカはビジュアルのリッチさがだいぶ劣るように感じます。おそらくサガエメではそのリッチさのために戦闘開始の待ち時間が再び増えてしまったのではないかと思っています(間が技の見た目データの読み込み展開の所要時間だという推測)。近年では配信での口コミが馬鹿にできないので、見栄えが重要なのは頷ける所ではあります。

だとしても。走っていくって何??って思います。サガスカのカットインのほうがよほど見てる楽しさがありました。走っていく時に、選んでいる陣形になってないっぽいのも残念。もうちょっとなんかできなかった?と思います。

不満点が直ったら素直に推せるんだけどなあ……

そういうわけで、慣れによって快楽が減ってきたところで、減らないストレスとの釣り合いが取れなくなったので、私はプレーをやめました。ストレスがなかったら、少なくとも5主人公で一通りクリアまではやりたかったです。武器も技もまだまだ上があるのはわかっていて、それらを見ることなくやめるのは悲しいです。

今からでも直せなくはないと思うんですよね。ただ、それは、今のスクエニでは「フルプライスの完全版をもう一度買ってね」になる可能性もありそうで、苦い顔になってしまいます。


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