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古い映画の旅:日本のいちばん長い日
映画「日本のいちばん長い日」(1967年)をアマプラビデオで。1945年8月14日正午から24時間、玉音放送までの間の波乱を、スピードと緊張感のある展開と、三船敏郎をはじめとする当時の豪華俳優陣の熱演で見せる。降伏直前の日本政府で、何が正解かわからぬ中、それぞれの信念を貫く姿に心が震える。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
前半は無条件降伏を決めて、全国に玉音放送を流すという段取りをしていく政治サスペンス。大臣達はそれぞれに視界が違う故に、一刻も早く国力の浪費を止めたい者、少しでも戦況を改善して休戦で有利な条件を引き出したい者、今まだ戦っている兵への落とし所を見つけたい者など、様々に意見が分かれる。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
「降伏したらどうなるのか」なんて、きっと誰もわからなかったんだろうと思う。だから答えがない。徹底抗戦を唱える人を愚かだと断ずることは今ならできるかもしれない、でも本作の時代においてその判断をする人に自分はそうは思えなかった。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
降伏する事自体は決まっても、今度は玉音放送で「どう国民に伝えるのか」でもめる。侃々諤々の議論の中、なんとか翌日の放送にこぎつけるためにギリギリの調整をする官僚。その様に「シン・ゴジラ」を思い出したが、どうも本作を大いにリスペクトして作られていたようである。 https://t.co/UigDeFrB50
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
(正直な所、自分の感想よりも先のシネマトゥデイの記事を読んでもらった方が早い気はする(が、この感想は備忘録でもあるので、めげずに書ききるぜ))
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
なんとか調整がついて玉音放送の録音ができ、明日流せそう、ここで23:30。長い一日だった…となりかけたところから、諦めきれない陸軍将校が師団長を殺害したシーンで再び緊張感が走り、後半のクーデターの話が始まる。60年代の映画なので血しぶきも首もめっちゃ飛んでて、それが緊張感を際立たせた。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
時は1945年。通信の主な手段は電話。陸軍将校はフェイクの司令で陸軍の一部を動かし、録音データの受け渡し方法であったテープの輸送を阻止して放送を止めようとする。当時の情報伝達の弱点を突く作戦の成否にスリルがあり見ごたえのあるところだった。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
日本人なら小学校の平和学習で習う通り、8月15日に日本は終戦を迎え、玉音放送が流れる、つまりクーデターは失敗する。つまり観客に結末を知らないものはいないわけだけど、それでもそこに行き着くまでのドラマで十分に引きを作る事ができていて、素晴らしい作劇だと思う。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
映像の作り方もなかなか容赦がなくて、14日深夜に玉音放送を録音する風景と同時刻に関東沖に迫る敵艦船に向けて特攻出撃する若者の映像を重ねたり、自決した陸軍大臣やクーデターに失敗して銃で自殺した将校の死体に玉音放送前の君が代を重ねてえぐる。最後に戦争での総被害者数を見せてくるのも重い。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
映像の作り方でもう1つ、本作では昭和天皇が登場するシーンはあるが、「顔を徹底して映さない」ようにしている。これは公開当時はご存命・在位中だったので配慮しての事だったらしいが、個人的には「アンタッチャブルな上位存在」という印象を強く覚えた。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
その上位存在が降伏しようと言ったその言葉に対して、「従おう」と考える者、「いやそれは仕方なく言ってるだけだから本心じゃないんだ」と考える者、それぞれで、別に戦前の日本に限らず宗教論争とかだってこういう話はあろうし、人というのは本当に、事象を都合よく解釈してしまうもんだよな、と。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
(この辺、2015年版は天皇の人間としての描写を強めに作ってあるらしいので、見比べてみると面白そうではある)
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
昔の映画の難点として、聞き取りづらさと、使っている言葉が今と違う事が多くて、字幕無し(アマプラにはない)で理解できないセリフが多々有り、今回もそうだった。聞き取れて調べた言葉に聾桟敷(つんぼさじき)、承詔必謹(しょうしょうひっきん)、天佑神助(てんゆうしんじょ)。わかんねえよ!
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
本作の公開は67年、終戦から22年しか経っていない。現在の22年前が1998年、そう考えると近い。三船敏郎は元軍人だし、作る人・演じる人・見る人、みんな戦争の当事者、という時代。今作られる戦争映画とは意味合いが違うよな、と思う。優劣ではなくて、立ち位置が変わらざるを得ないという話。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
「刻むぞ」という造り手の熱量が満ちているように感じなくもなかった。
— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) May 23, 2020
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