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JOL2017-2 フリウリ語

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LevelB、形態


定冠詞と所有形容詞の変化を問う問題です。正確な条件整理をして規則を導き出す必要があります。(イタリア語に女性名詞と男性名詞の区別があるという知識があればより簡単に解けます。)


まず、2,3番目の例文の「その(特定の)」という英語の教科書でよく見る訳から、「lis」や「la」が定冠詞であることが分かります。また、その後の例文からフリウリ語では所有形容詞がすでに付いている名詞にも定冠詞がつく場合がある(詳しくは後述)ことと、所有形容詞が変化することが推測できます。


始めに、名詞の語彙を整理します。(s=single, 単数 / p=plural, 複数)

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英語と同じように複数形にはsがついており、単数複数によってのみこの単純な変化が発生するのだと考えられます。そのため、7~9番目の例文で抜けているのは定冠詞だと推測できます。(名詞の語尾によって所有を表すことがなさそうであるため)


次に、変化している単語について整理します。定冠詞と所有形容詞、そして分かりづらいですが「アイルランド人の」に対応する形容詞も語尾が少し変化しています。定冠詞と所有形容詞の両方が変化しているため、それぞれ名詞に対応して変化しているのだろうと見当をつけます。

・定冠詞

la, lis, i, il, 無し

上記の五種類が存在します。ここで、それぞれにつく名詞を整理すると

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このようになります。ぱっと見てわかるのは「la」「il」が単数名詞、「lis」「i」が複数名詞につくということです。また、「la」と「lis」、「il」と「i」がそれぞれ似ており、単複以外にもう一つの基準で名詞を区別するために二組の定冠詞が用いられていると考えられます。この基準を明らかにするために、まずは定冠詞がつかない名詞の条件を考えます。

「無し」に分類されている要素と類似の要素で定冠詞がつけられている「姉たち」と「いとこたち」、「アイルランド人のいとこ」を比較すると「無し」に分類されている名詞は親戚関係を示す単数名詞でかつ、所有形容詞以外の形容詞のついていないものだということが分かります。


さて、定冠詞がつかない条件が分かったことで四つの定冠詞について比較することができるようになります。不明な名詞の判断基準をAとBとして表で整理すると、

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このようになります。(実際は名詞タイプA=女性名詞、名詞タイプB=男性名詞ですが、名詞タイプBと断定できる男性名詞が例文に含まれないため、A,Bで分けてそれぞれに含まれる名詞を書き出すだけで十分です。)



・所有形容詞

所有形容詞も、まず表に書き出して整理します。

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「私の」に対応する所有形容詞が四種類あることから、先ほどの定冠詞の変化に対応するのではないかと考えられます。(名詞の語尾などに対応する可能性は9,12番目の例文などから否定できます)

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このような表が作れます。「兄」という単語に定冠詞がつくのは例文8のみなのでnestriの処理について迷いますが、タイプA-単数の枠が埋まっているため、残っている単数の枠、タイプB-単数に入れます。ここで、「兄」が名詞タイプBであることが分かります。(問d, jに必要)



・形容詞

上記のことが分かった状態なら、難しくありません。「アイルランド人の」が現れる例文で形容詞がかかるのは「おばあちゃん(単数)」と「いとこ(単数)」なのでこちらも名詞タイプによって変化するとわかります。複数名詞にかかるときにどのような形になるかは不明ですが、問題では単数名詞にかかっているのでそれについて考える必要はありません。

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あとは、語彙と以下にまとめる分かったことを用いて当てはめていくのみです。

・複数形は単数形にsをつけて作る

・名詞は二つにタイプに分けられ、それぞれが単複によって区別されるため名詞の種類は四つである

・定冠詞と形容詞(所有形容詞含む)は後に続く名詞の種類によって形を変える。ただし、親戚関係を表す単数名詞には定冠詞をつけない。



↓解答(公式ページから引用)

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