Cウィズのシンデレラ
「ウィズ」というのは、靴を買うときの足のサイズのひとつで、「足囲」のこと。産業技術総合研究所のサイトによると、「足囲は、脛側中足点(第一中足骨頭、つまり親指の付け根のところの骨のふくらみのうち、最も内側に飛び出している点)と腓側中足点(第五中足骨頭、つまり 小指の付け根のところの骨のふくらみのうち、最も外側に飛び出している点)とを通るように測った、足の周囲長のことです。」らしい。ウィズの呼び方はワシントン靴店のサイトにこんな風にまとめてある。
Aから始まり、日本人はEあたりが多いらしいので、靴売り場で見かける商品はだいたいウィズはE、EEであることが多い。そして、それだと困るのが私。私のウィズはC。幅が狭く甲が薄いのだ。なので日本のメーカーの既製品だとゆるくて足に合わないことが圧倒的に多い。
それを知ったのは、昔銀座のワシントン靴店でセミオーダーシューズを作った時だった。試してみようという程度の動機だったのだが、オーダーのために採寸して自分の足の特性をそこで初めて知り、どうも靴が微妙に合わないことが多かった理由がやっとわかった気がした。
そこからは足に合う靴を探し続け、結論としては「外国製の木型の方が足に合う確率が高い」というものだった。そしてフェラガモ、トッズあたりが足にも合い、デザイン的に好みのものもありそうだということで、新しく靴を探すときはそのあたりのブランドを中心にするようになった。あと、皮膚が薄いので、あまり固い革もダメ。履いてるとすぐに血豆ができて歩けなくなってしまうのだ。
写真の靴はフェラガモの「オードリー」という靴で、かのオードリー・ヘップバーンのためにデザインされた一足とのこと。バレエシューズのような可憐なデザインに1cmのローヒール、ストラップで甲もちゃんと押さえてくれて、革は柔らかく足を優しく包んでくれる、デザイン的にも機能的にもとてもナイスな一足。ただしお値段もナイスなので、そう多くは買えないし、登場頻度を高めるわけにもいかないというのが玉にきず。
そんなわけで、普段履きのものは、なるべく国産のメーカーで細めの木型のものを探し、何度も試し履きをして少しでも快適でそこそこ納得のいくデザイン、しかも手頃なお値段という実にハードルの高い買い物を毎回試みている。せっかくこれは、というものを見つけても次回同じものを買いに行くと木型が変わっていてダメ、ということも二度三度ではない。オーダーすればいいのかもしれないが、知る限りではセミオーダーものはデザインがいまひとつ納得がいかないものが多く、引き続き探し続けるしかない。
「Sex and the City」の主人公・キャリーのように、素敵なパンプスをずらりと並べて靴道楽というのも憧れないわけではないけれど、残念なことにハイヒールも履けないので、自分に合った木型と素材とヒールで、そしてかわいい靴を見つけるという苦難の旅を続けているというわけで。私がシンデレラになったとして、足にぴったり合う靴を探すのはガラスの靴よりずっと難しいだろう。
※題名は尾崎亜美の「21世紀のシンデレラ」(収録アルバム:MERIDIAN-MELON)からいただきました
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