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Movie 「リスペクト」

映画「リスペクト」を見てきました。アレサ・フランクリンの生涯(主には前半)を描いた作品ですが、話の内容はもちろん、圧巻の音楽や色とりどりのファッションなど見どころ満載。ラストに向けては涙が止まらず、あちこちの席から鼻を啜る音が聞こえます。

見終わって、「ああ、アレサはようやく自分自身への『リスペクト』を取り戻せたんだ、それを描いた作品なんだ!」と勝手に納得し、強く強く心打たれました。

自分自身へのリスペクトを取り戻すことは、自分自身を赦すこと。自分を責め続けてきたアレサは、あることでようやく光を見出すことができます。父親や夫などの暴力的な支配を受け続けてきた彼女の、彼らの顔色を伺う表情に胸が痛み、まるで自分もその場にいるように苦しくなりました。それは私自身が父親の暴力的な支配の元に暮らしていたからです。そういう環境で育つと、自分を肯定することができず、悪いことがおきるとそれは自分がいけなかったのだと、自分を責めてしまいがちです。

カウンセリングを受け、心理学を学び、自分自身カウンセラーとして過ごす中である程度そういう状況からは抜け出したと思っていたのですが、それでも自分を責め続けていたことがいくつかまだ残っていました。だけど「リスペクト」を見て、仕方のなかったことなのだ、と、あのとき弱かった自分、頑なだった自分をもうそろそろ赦してあげていいんだよ、と、私自身が言われているような気持ちになり、涙が止まりませんでした。そうしないと心が壊れてしまったから、そういうことは誰にでもあって、仕方がなかったのだ、と。長年の自責にようやく一区切りをつけられた時間でした。

ここまで長い時間自分を責め続けてきたわけなので、そうは言っても一晩で脱ぎ捨てて完全に身軽になる、ということは残念ながらありませんが、それでも最初の一歩を踏み出せたのはとても大きく、昨日までより自分を大切にできそうな気がしています。

途中から自分語りになってしまいましたが、作品も本当にすばらしいです。特に好きだったのはセッションしながら一曲を仕上げていくシーン。ミュージシャンたちが演奏が進むにつれてどんどん夢中になり、興奮しながら名曲が生まれる瞬間でした。

アルバムをもう一度聞きなおしながら、余韻にひたりたい、そんな映画でした。

※劇中「Think」が流れるとどうしても「ブルース・ブラザーズ」を思い出してしまうのは仕方ないですよね。


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