COMIC 「きのう何食べた?」よしながふみ
今日のnoteで加藤貞顕さんがよしながふみさんの「きのう何食べた?」について書かれているのを読んで、以前ブログに書いた記事を思い出し、こちらにも載せてみようと思った次第です。
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私の周囲で評判が非常に高く、ずっと気になっていたけれどなぜか手に取る機会がなかったよしながふみの「きのう何食べた?」1巻をようやく入手し、あっと言う間に読了して残り5巻までを大人買いして一気に読み切った。大人になってよかったとしみじみ思うのはこういう時だが、それはともかく。
モーニングの公式サイトに掲載されている紹介は次の通り。
これは、都内某所2LDKに男二人暮らしで住む、筧史朗(弁護士)43歳と矢吹賢二(美容師)41歳の「食ライフ」をめぐる物語です。
ちなみに1ヵ月の食費は2万5千円也。
この二人はゲイカップル。クールな美中年・シロさんこと史朗が炊事役で、主婦も真っ青のかしこく節約しつつツボを押さえたおいしい晩ごはんづくりを趣味としている。ケンちゃんこと賢二はちょっとヤキモチやきで少々オネエも入りつつシロさんの作るご飯をいつもとても美味しく喜んで食べている。
そんな二人の日常に起こるささやかな出来事、それはゲイであるがゆえのちょっと変わった出来事だったり、そんなことに関係なく起きる人間模様だったり、いろいろ諸々のことと、その日の夕食の様子(買い物からレシピつきの手際よく作っていく様子まで)がセットで描かれている。40を過ぎて人生の折り返しを迎えた二人が少しでも気持ちよく丁寧に毎日を生きている様子がとてもリアルで、しみじみと味わってしまう作品だ。
シロさんの料理は本当に日常の「おかず」で、めんつゆやだしの素など既製品を使い、特殊な材料は使わない。特売品を使った献立で安くておいしい旬の野菜や魚を手際よく晩ご飯にしていく様子は読んでいてとても気持ちいい。当然レシピは自分の晩ごはんづくりにも活用させていただこうと思ってる。
二人のゲイカップルであるゆえの微妙な距離感や気の使い方、周囲との距離の取り方なども、ああたぶん実際もこんな感じなんだろうなあとリアルに感じる。
ケンちゃんの「わーおいしそ~」といううれしそうな笑顔を見ると、お料理上手には上手な食べ手がいてこそ、だとも思う。喜んでもらえるから、作るほうだって一生懸命おいしく作りたいのだもの。
「大奥」のようなドラマチックな作品とは好対照の、でも人間を見る鋭い観察眼は共通するものを感じる、よしながふみの名作。
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