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そろそろ自分を許してあげよう
不定期で襲われる深い憂鬱に、またはまっているようである。たとえば、カフェで流れてきたスティービー・ワンダーの「Isn't She Lovely」を聞いてどうにも悲しくなってしまうようなとき。こんな風に手放しで「Isn't She Lovely」って、私も言ってほしかった、と心の中で泣き崩れるようなとき。私は明らかに疲れて果てている。世界中の誰もかもが自分をうとましく思っているような、誰も味方なんかいやしないような、どこまでもひとりぼっちのような心持ちになって、ぞっとするほどの孤独にいっそ消えてしまいたいとさえ思ってしまう、そんなとき。
何かがうまくいかなかったことをきっかけに、誰かに絶えず責められてるような気がして、もっとちゃんとできたはずなのにできなかった自分をダメなやつと責めて、責めて、責め続けて。ああすればよかったのに、こう言えばよかったのに、完璧にコミュニケーションできない自分を責めて、責めて、責め続けて。存在価値なんかないと責めて、責めて、責め続けて。
だけどそうやって自分を責め続けて、自分にそんな風にさせる他人を恨んでいるうちに、もういい加減疲れてしまった。
いいじゃないの、完璧じゃなくても。
いいじゃないの、ちゃんとできなくても。
そうやって自分を責め続けている限り、他人のことも許せない。許せないままひとりぼっち。本当はひとりはイヤなくせに。つらいくせに。
子どもの頃の環境がそうさせたのはわかってる。父親からの精神的虐待の中で暮らしてきて、自分に何か落ち度がなかったかといつも怯えて生きてきた。そうしないと自分を守れないと思ってた。それは仕方ない。でも、もう私は5才の子どもじゃない。
もうそろそろ自分を許してあげようよ。
完璧じゃなくたって、「ちゃんと」できないことがあったって、あなたを見てくれてる人はきっといる。
「Isn't She Lovely」と言ってくれる父親はいなくても、あなたといると楽しいよ、と思ってくれる人はひとりくらいはいるはずだから。
そんな声がどこかから聴こえてきたような気がした。
自分で自分を殴り続けてる手を下ろして、そしてそっと抱きしめて、「もう責めないで」そう言ってあげよう。もう責めないで。もう泣かないで。
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