クラウドからの回帰: クラウドから自社データセンターへデータを抽出する手法について
クラウドにデータを保存することには多くの利点があります。柔軟性や拡張性があり、社内のITスタッフのメンテナンス負担も軽減できます。しかし、クラウドから自社のデータセンターに戻すことを選択する企業も増えています。 「クラウド・リパトリエーション」とは、パブリック・クラウドにアウトソースしたデータ、アプリケーション、ワークロードを自社のインフラに戻すプロセスのことです。
ここでは、パブリック・クラウドから移行したい理由について紹介します。また、プライベート・クラウドやハイブリッド・クラウドへの移行と実装を成功させるために考慮すべき点についても説明します。
データ・セキュリティとコンプライアンス
データの主権は、クラウド移転に関連する重要な問題です。言い換えれば、自社のデータとそのデータを保護するためのセキュリティ対策の管理です。
●クラウド・プロバイダーにおけるセキュリティ侵害は、企業がクラウドに移行する際に期待したほどデータ・セキュリティが必ずしも高くないことを示しています。
●セキュリティ・インシデントで顧客の個人情報が漏洩した場合、企業のイメージは極めて悪化する。データ保護規制への準拠は、企業がクラウドから自社のインフラにデータを戻す理由となることが多くなります。
●機密性の高い企業データもまた、特別な保護に値するものであり、それは企業が自ら判断できるものでなければならないものです。
コストとパフォーマンスの最適化
クラウド・ストレージを利用している企業は、クラウド戦略を立案する際に想定していなかったデータの増加に直面することが多くあります。
●トランザクション料金、ストレージ料金、イグレス料金など、予想外に高いコストがかかると、企業はクラウドストレージ戦略を見直すことになります。
●パフォーマンスと可用性の要件についても状況は同様です。
●クラウド上の大量のデータに確実にアクセスするには、高速で安定したインターネット接続が必要です。しかしクラウドからデータを読み出す場合、これらの要件は満たされないことが多いことがあります。
クラウドデータを持ち帰る: 目標
そのため、クラウドデータを持ち帰る動機と目標は多岐に渡ります:
●外部サービス・プロバイダーへの依存を減らす
●データとそのセキュリティの管理強化
●プライバシー規制の遵守
●コスト削減
●パフォーマンスとレイテンシー要件の達成
クラウド・リパトリエーションを成功させるための戦略
シームレスなクラウド・リパトリエーションを成功させるためには、ローカル・データセンターのインフラを適切に準備することが重要です。クラウドストレージの利点を社内で享受するためには、プライベートクラウドのインフラをパブリッククラウドの構造にできるだけ近づけなければなりません。
出発点は、クラウドプロバイダーが提供するさまざまなストレージクラスに類似した、ストレージクラスの差別化が可能なS3オブジェクトストレージであります:
●オンプレミスのデータも、標準化されたS3インターフェイスを介して保存される。これにより、アプリケーションのシームレスなデータ移行と適応が可能になります。
●S3・ツー・テープソリューション、つまりS3インターフェイスを介したテープの統合は、コスト効率の要件を満たす。テープは大量の非アクティブデータの長期保存に最適です。
●単一のネームスペースの下にディスクとテープのストレージクラスを統合するソリューションは、特に効率的です。これにより、生産性の高いデータと非稼働データそれぞれに最適なストレージクラスが提供されます。このように、パブリック・クラウドの構造は、プライベート・クラウドとしてオンプレミスに実装されます。
ストレージクラスの差別化によるプライベートクラウドの利点
単一のネームスペースで複数のストレージクラスを提供するオブジェクトストレージソリューションのS3統合により、クラウドストレージの利点をローカルデータセンターに導入することができます。
最大限の柔軟性:
標準化されたインターフェイスにより、純粋なプライベートクラウドであれ、ハイブリッドクラウドであれ、個々のクラウドソリューションを柔軟に設計・最適化できます。
コスト効率とエネルギー効率:
テープ上のデータストレージは、高いコスト効率とエネルギー効率を提供します。
サイバーセキュリティとコンプライアンス:
テープストレージクラスをプライベートクラウドに統合することで、データ資産のサイバーセキュリティを高めることができます。オフライン機能と物理的なエアギャップにより、テープはランサムウェアの脅威に対する「最後の防衛線」と考えられています。
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