半神まいこの生活〜席が空いていても座るとは限りません〜

杖を持って電車に乗ると、一斉に車内の人の視線を受ける。そして、皆、周りを見回す。
どこか席は空いているのか?
誰か席譲れよ、
といった空気が蔓延する。
そして、空いている場所があると確認して一同、
ほっとした空気が流れる。
が、私は、すわらない。
今度はなぜ、空いているのに、座らないんだ!という
目で見られる。
なぜなら、座れたら座りたいが、私は、乗った瞬間に、降りる準備が始まるのだ。
事前に乗る駅と降りる駅の左右、どちらのドアが開くかを調べておく。乗るのが右側で降りるのも右側なら、乗ったドアの手すりにつかまって立つ。
降りるのが左なら、乗った瞬間に反対側のドアにつかまりに行く。
なぜなら、乗ったはいいが、降りれないと困るのだ。うっかり、空いている席に座ったら、どうやって降りるかを、ひたすら、シミレーションしなければいけない。ドアの前に3人。席から、ドアの間に2人。電車が止まって立ち上がってから間に合うのか、2人を越えて、3枚の壁を撃ち抜かねばならぬ。
なので、席が空いているとしても、ドアから離れていたりすると、残念ながら、見送る。もしも、ドアの横の席が空いて入れば座るけれど、立ちあがってドアまで何人いるか?は常に考えなければならない。
目的地で降りる目標達成のためには、座らない、座れないこともある。とにかく、乗ったら、降りねばならぬ、のだ。ここで電車は、目的地まで、移動するための移動手段であるのだ、と改めて認識する。
元気な頃には、全く、思いもつかない、当たり前のことに気づく。
時々、座るところがないから立ってると思い、自分の席を譲りに来てくださる方がいるが、降りるのに必死で、お断りすることがある。大変申し訳無い。 
一度なんかは、私の立ってるドアから2つくらい離れた先の席に座っているおばさまが、立ちあがって、自分の席を指差しながら、手招きして席代わってあげるから、こっちにおいで~。と叫んでくれていた。が、動いている電車の中で、そんな遠くまで、杖一本では、歩けないので、
私も、
すみませ~んありがとうございまーす!
でも、遠くて行けませーん。
と叫ぶ。
おばさまには、聴こえず、周りの人が、歩かれへんねんて。と説明してくれる。
というのも、大阪の良いところであるな、ということも、再認識できる。ありがたい。
申し訳無いのですが、動いている電車の中で杖持って歩く不安定な状態では、歩けないのです。
なので、空いてても、代わってくれると言われても、座るとは限らないことをご理解頂きたいです。
代わってあげると言ったのに、断られたとしても、断わる方も、大変、申し訳無い気持ちで断っていますので、もしも、また、困ってる人をみかけたら、声を掛けて頂きたいと、願っています。どうか私が、断ってしまったことがトラウマになって声かけにくくなっている人がいませんように。
他の方が、座れて優しくて温かい気持ちを受け取ってくれるはずですから。

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