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2015-7

2015-7

朝の音雨がしとしと青田風

梅雨晴間磯渡りする子らのゐて

社殿に龍の彫り物半夏生

煎餅を供奉してゐたり青簾

杉落葉室の八嶋の縁起物

木訥の枕の休む夏の月

木訥の枕の休む夏の月

滝音の心にひびく無念橋

白鷺の空を飛びたる田圃かな

山門を橋より見たり梅雨曇

雲の峰仏像拝す雲厳寺

日本語を忘れてしまふ半夏生

冥王星へ無人探査機夏の夜

朝顔市夜露を浴びる鬼子母神

杉板に羽衣の絵や夏曉

洗濯のサンダル干すや梅雨晴間

健脚の足を刺したる藪蚊かな

町並みやのの字廻しの山車なりき

お祭りやおむすび弾む町起こし

十二湖や自然なままに森茂る

山影の池に映えて蛙かな

廃線の駅弁食べる夏の空

雲の峰のぞくとすくむめがね橋

蕎麦食いふや箸のかはりの葱一本

山百合や風オカリナのごとくなる

夕涼み太鼓の音のあと幾つ

涼風や源流沿ひの遊歩道

十字架のマリア観音草いきれ

ふらふらと熱ある頭夏の風邪

夕蝉の声を聞きつつ帰りけり

夏嵐海に行き着く川荒れる

起し絵やおなら戦法面白い

向日葵や二人で登る白い雲

夕虹の東南に見えすぐ消える

参道の鏡売り場や樟落葉

夕焼の山を染めつつ消えにけり

松葉散る木々の立ち枯れ青の水

日傘さし行きしをんなの後ろ髪

じやぶじやぶと水遊びして通り抜け

風涼し浮世絵にある妖怪画

熊蝉の木々を探して鳴きにけり

行きずりに目線を逸らす夕茜

雷鳴に行くことならず図書館

野馬追や父子の絆に鞍を引く

空蝉や思ひ違ひの片思

古家の茅葺き屋根の大暑かな

草いきれペンキを塗りて午後三時

清流に興ずる子らや雲の峰

水田に農婦の踊る祭りかな

笹百合の畔に咲きたる可憐にて

遥かなに海と田圃や夏の雲

杉の影映す水田の草茂る

自転車で家路に帰る夏の夕

霧雲や小さな小幡村の夏

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