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CRMという名の魔法

営業という機能は、細かくはその所属組織によって異なるが、外資企業ではSales、日本企業では営業と名がつき、要するに顧客に価値を提供しその対価として代金を得る、その直接的な役割を担っている組織の総称である。

受注をするという結果を可能な限り高い可能性で実現するために、顧客関係を構築する。古くはその営業組織に属する個々人の中で完結していた客先の登場人物を組織的管理にすると、CRMという言葉になり、あたかも突然価値があるものに変化したかのようになる。しかしながら、顧客関係が属人的であった時代も組織的管理、すなわちCRMにという形になった現代でもその重要性および付加価値は変わらない。情報管理の属性ではなく、その情報の深み、精度および、整理の手法が重要である。

顧客の意思決定者が誰で、その意思決定者に影響を与える人物は誰か。その整理ができていることが最も重要である。顧客組織の中での意思決定者が明確であり、その意思決定者へ直接的に影響を与える重要人物、その重要人物へ影響を与える人物とその繋がりを広げて行くことで客先意思決定プロセスが明確になる。そのプロセスの中のどの客先登場人物に対して、自社の誰が対応するか、この定義づけとメンテナンスの実施がCRMのキモとなる。

意思決定は購買決定プロセスに留まらない。技術仕様、品質基準、生産管理、物流管理、設備仕様決定、各種戦略決定など、あらゆる場面で意思決定が行われる。意思決定者の特徴は様々であり、変革を好む人物、変革を口にはするが、実際は変革を好まない人物、保守的な人物、自身での決定を好まない人物、などなど、数え上げればキリがない。このような特徴を押さえることもCRMの重要なファクターであり、これら意思決定者をどれだけきっちりプロファイリングできているのかは競争力を左右する。

セールス、営業の前線は客先登場人物を知っていることを自身の付加価値とするのではなく、意思決定者、意思決定者へ重要な影響を与える人物、そして意思決定プロセスのプロファイリングを熟知していることを付加価値とすべきである。組織もそこに重点を置いた評価をするようになれば、組織の中で組織と個人の役割分担が明確になり、CRMに強みを持った組織にすることができる。

そして、CRMに強みを持つことができれば、受注する可能性を高めることができる。10社との競争関係であれば、10%の勝率ではない。プロファイリングを十分に実施することにより、その可能性を50%にまで高めることが可能となる。

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