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推しの卒業

2023年2月26日、推しが卒業した。
人生で初めての推しだった。

中学一年生のとき、特に何も趣味がなかった私は先輩の影響で乃木坂46に興味をもった。楽曲はおろかほとんどのメンバーの名前も知らない状態だった私はバラエティ番組に出ている姿を見て彼女を知った。〝別に推しメンとかもいないからこの子を応援していこうかな。〟そんな緩い気持ちで彼女について調べた始めた気がする。彼女について調べれば調べるほど、どんどん彼女のことが好きになった。きっと彼女との出会いが違かったとしても私は今のように彼女を応援していただろう。

学業の影響で3枚目シングルまで活動休止しており周りから遅れて活動が始まったこと。そんな中4枚目シングルでいきなり福神に選ばれて周りのメンバーとの間にわだかまりがあったこと。彼女のがんばりと人柄で今では多くの人に愛されるようになったこと。彼女のそんな特殊な経歴を知り彼女のがんばりやで誰に対しても優しく素敵な人柄が大好きになり気付いたときには彼女の虜になっていた。

ライブや握手会に行ったこともなくCDをたくさん積んでいたわけでもなかった私は正直彼女のファンを名乗る資格があるのか分からない。けれども私にも振り返ればさまざまな思い出がある。年末のcdtvで卒業したメンバーの代わりに〝帰り道は遠回りしたくなる〟でセンターを務める姿を見て嬉しくて涙したこと、毎週乃木坂工事中の放送を楽しみにしていて友達とすごく盛り上がったこと、2代目キャプテン就任のお知らせを聞いたとき最初はまったく信じられなくてすごく驚いたこと、楽曲名や歌詞をひたすらノートに書いていたこと、コロナ禍での自粛期間中に毎日たくさん乃木坂46の動画を見て楽曲を聴きまくったこと、今思えば少し恥ずかしいことでもありオタクとしての思い出かどうかは定かではないが私にとって大切な懐かしい思い出だ。

ここ2、3年で多くのメンバーが乃木坂46を卒業し新たな道へと進んでいった。一期生,二期生のいわゆるお姉さんメンバーが好きだった私は少しずつ乃木坂への興味が薄れていってしまった。自分が好きだった時代の乃木坂と今の乃木坂はもう違う。そんな気持ちからだろうか。気づいたら乃木坂46が出演する音楽番組をチェックすることがなくなり、気づいたらあれだけ楽しみにしていた乃木坂工事中を見なくなり、気づいたら新曲が発表されてもMVすら見なくなっていた。私は別のアイドルグループを熱心に応援するようになり乃木坂46は〝テレビに出演していたら見る〟程度の存在となった。

相次ぐ人気メンバーの卒業やいくつものスキャンダルにより勢いが一時期に比べて落ちていく中で、グループを遠巻きに見ていた私は正直彼女にグループを卒業して違う道に進んでほしいとすら思っていた。誰に対しても優しい彼女がグループのために多くのことを我慢しているのではないか、一人で小さな身体で多くのものを背負いすぎているのではないか、彼女と共に乃木坂を創り上げたメンバーたちが違う道へ進む中で先頭に立ってグループを支えていた彼女がグループのために犠牲になりすぎているのではないか。そんな心配からだった。今思えばずいぶんと失礼な感情だと思う。彼女のがんばりに対して馬鹿馬鹿しいほど失礼だ。だがそんな厚顔無恥な感情を抱いてしまうほど私は乃木坂から心が離れてしまっていた。


そして2023年1月7日。彼女は2月26日での卒業を発表した。最初に聞いたとき私はついにこの時が来てしまったのだと思った。多くのメンバーが卒業していく中である程度覚悟はしていたつもりだ。でも彼女が卒業するまでに残された期間はあまりにも短かった。全国ツアーも年末の紅白歌合戦も彼女が出演することはもう無いのだ。自分が卒業することを明らかにせず卒業する他のメンバーに花を持たせるのはある意味彼女らしいと思った。だが私が気づかないうちに彼女にとって最後のものが一つまた一つと増えていったはずだ。もっと乃木坂46が出演する番組をちゃんとチェックしていればよかったと思った。もっと彼女の乃木坂としての最後を大切にすればよかった、噛み締めるべきだったと後悔した。

彼女の卒業を発表したブログを読んだ。そこには両親やメンバー,スタッフ,ファンと多くの人への感謝の言葉が綴られていた。彼女が紡ぐ言葉は本当に素敵だと改めて思った。彼女は自分のファンは自分と似ているところがたくさんあると言っていた。私は実際に彼女のファンに会ったことがないからあまり自信をもってそうだと言うことできない。だがSNSを通じて知った彼女のファンはみんな愛に溢れていると感じる。それはきっと彼女の人柄が影響していることは間違いないだろう。

そしてこの一文を見た時私は涙が出てきた。

彼女がグループに入ってからの11年間。ずっと順風満帆だったかといえばきっと違う。4枚目シングルの選抜発表のときの雰囲気、その直後の彼女の姿を見ると私は少し胸が苦しくなる。さまざまなことを乗り越えてきたメンバーと彼女の間に溝があったことは否めないだろう。そんな中努力を積み重ね決して辛い姿を周りに見せようとしなかった彼女の姿は本当にかっこいいと思った。そしてそんな彼女を応援できたことを誇らしいとさえ思った。

彼女の卒業コンサートは絶対に見たかった。一時期は熱狂的に好きだった彼女だ。ずっと同じ熱量で応援していたわけではないがそれでも彼女のアイドル人生最後を見届けるのは自分にとってとても重要なことだと感じていた。がんばりやでずっとグループを支えていた彼女が多くのメンバーに送り出される姿を見たいと強く思った。たくさんに人に愛されていた彼女の最後はどんなものになるのだろうと思った。配信されているのなら自分も見れる、絶対に見たいと思い親に頼み込み配信チケットを購入してもらった。

そしてついに2月26日。卒業の日が来てしまった。そもそも乃木坂のライブを一連の流れを通して見たことがほとんどなかったため私にはあまり想像つかなかった。卒業コンサートは本当に素敵なものだった。

デビューシングルからの三曲は彼女から一期生のメンバーへのリスペクトが込められていた。彼女のデビューシングル「制服のマネキン」で後輩たちの間を堂々と歩く彼女の姿にMVのリップシーンで涙を浮かべていた彼女の面影はなかった。後輩たちと期別の曲を披露する彼女は新鮮ですごく楽しそうだった。ユニット曲を披露する彼女にはオリメンへの愛を、そしてシングル曲をセンターで踊る彼女の姿は最後の一期生としてグループを支えてきたプライドをひしひしと感じた。

彼女自身がすごく輝いていたが、同じように一緒にステージに立つ後輩メンバーもすごく輝いていた。誰か1人が目立つのではなく多くのメンバーがスポットライトを浴びることができるような構成になっており、それぞれが彼女との別れを惜しむ姿はとても感動した。後輩から語られる彼女の姿は私が大好きな〝秋元真夏〟そのものだった。そして私が思っていたよりも彼女は何十倍もグループ愛が強くメンバー想いで芯の強い女性だったのだろう。

彼女の卒業コンサートには多くのOGも来ていたそうだ。彼女の盟友である生田絵梨花は大阪での連日ミュージカル公演があるにもかかわらず合間を縫って駆けつけたらしい。〝いくまな〟の愛称で親しまれる二人の関係性がファンが思っている以上に非常に素敵なものであったのだろう。アンコールでのVTRでは何人かの卒業したメンバーから彼女へのメッセージが語られた。小ボケを挟みながら語られるナレーションは愛が詰まっていた。そしてそれは私が大好きだった乃木坂46そのものだった。

私自身、彼女の卒業のタイミングでもう乃木坂に興味を持つことはなくなると思っていた。しかしそんなことはなかった。彼女の卒業コンサートを見たことで他のメンバーの魅力を再発見することができたのだ。久しぶりに見たある子はとても垢抜けていて、久しぶりに見たある子はパフォーマンスがめちゃくちゃかっこよく進化していて、久しぶりに見たある子は乃木坂を背負っていく覚悟を感じその姿に魅了された。これからも遠まきではあるが乃木坂46を応援していきたいと思う。


最後に、まなっちゃんへ
改めて卒業おめでとう。中1の頃から約4年間あなたを応援することができて本当によかったです。誰にでも優しく周りのことがすごく見えていて努力家で芯の強いまなっちゃんがすごくすごく大好き。可愛らしい歌声にくしゃっと笑う笑顔で歌って踊っているあなたは私の中ではこれからもずーっとずっとキラキラ輝くアイドルです。乃木坂に加入してからの11年間、そしてキャプテンに就任してからの3年間、私には想像がつかないほど大変なことも多かったと思うけれど乃木坂を続けてくれてありがとう。ずっと私に笑顔を届けてくれてありがとう。後輩たちに囲まれながらピンクのドレスで卒業していった姿は世界でいちばん綺麗でした。これからもずっと応援しています。まなっちゃんの人生が笑顔溢れる幸せなものとなりますように。


長文でだらだらと偉そうに書いてしまいすみません。もしここまで読んでくださった方がいらしゃったら、本当にありがとうございました🙇‍♀️🙇‍♀️

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