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コラージュ・ど・ジャパン(焼き立て)

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夢で会いましょうのパクリです
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#スキしてみて

「ヲ」ノ・ヨーコ

 「どんぐり・きょーこ」なる曲がある。  どんぐり?  どんぐりは美味しくないけど、どうしてこんな曲を作ったんだろう。僕はこれを聴こうとする前、頻りにこのことだけを考えていた。でもヲノの乳首を斟酌するに、どんぐりは母性のメタファーなのだから当然なのかもしれない。  でもそう仮定すると、「どんぐり・きょーこ」は「ちくび・きょーこ」ということになる。「きょーこ」が誰だか分からないが、兎に角彼/女(ポリコレに配慮した結果!)の乳首についての曲なのだろうか。僕がまだ尻の青い小僧

「ワ」シントン、デンゼル、ワシントン

 ピー、プロロロピロ、ブーブー、シャー  それぞれの音自体は、いかにも機械らしい電子音であるのだが、その音の並び方が機械とは思えない程に整然さを欠いたランダムな配列であるため、ただのプリンターであるはずなのに、じっとこちらを見つめたまま動かない動物のように静かな生命力を感じる気もする。  そう考えれば、闇に溶け込むほど黒く、光を吸収するマット加工のボディや、角の無い曲線的なフォルムなど、このプリンターはたくさんの動物的な特徴を持っている。だからこれを『アニマル』と呼ぶこと

「ロ」バート矢野

 「なあ、ロバートって四人組だったっけ?」 「なんだいきなり、そんなこと聞いてきて」 「いや……やっぱなんでもないわ」 「なんだよいつものお前じゃないな、一体どうしたんだよ」 「ロバートって三人組じゃなかった、って」 「ロバートは四人組に決まってるだろ、はねトびやポケサン観てたのに忘れたのか?」 「あ、まじか……いや、確かにそうだったな、すまんすまん」 「変なこと聞いてきて、もしかして若年性認知症とかじゃないの?(笑)」 「ははは……」  ロバートは三人組という記憶が残って

「ル」ートビア殺人事件

 「犯人はこの中にいる!」とよく分からぬ小童が赤い蝶ネクタイに語りかけているが、その声の太さに度肝を抜かれて僕は失禁した。でも最近再発した夜尿症対策でパンパースを履いていたおかげで、辺りに気づかれることは無かった。平野啓一郎か? という疑念ももちろん湧いて、僕は遠くから興味津々に見つめている。  「犯人は大きな乳房を抱えていました、そしてそれはあなたのことですね、安浦さん」と僕の右横にいる、体百点、顔六十七点、性格野蛮の女性の名前が呼ばれて、皆一斉に彼女の方を振り向く。  「

「ラ」ーメン・リパブリック

 友達と遊んだ後、ラーメン屋に行くのはあんまり望ましくない、何故なら話す機会が少ないし、最近の意識高い系の店主が最高にマザーファッカーだからだ、そう言った親友、ステイプル・ステイプラー三世は上着にダイナマイトを隠し、様々なラーメン屋に出向いては店主や客の態度を見計らい、良ければ何もしないが、悪ければ、彼がいつもタバコを吸う際に用いる100円ライターでダイナマイトに火をつけ、帰り際カウンター下の荷物を置くためにある溝に捩じ込んで、駆け足でそこを去り、背後から爆発音を耳にして、同

「ユ」マ・サーマン

 工場で働くユマ・サーマン。  石化させるユマ・サーマン。  鼻血噴き出すユマ・サーマン。  クソデカ親指のユマ・サーマン。  天井に張り付くユマ・サーマン。  植物と融合したユマ・サーマン。  パリにやって来たユマ・サーマン。  ジャッキで殴られるユマ・サーマン。  アビーだと間違われたユマ・サーマン。  緑のスカーフを着けたユマ・サーマン。  スウェーデン語訛りのユマ・サーマン。  僕たちの世界にはいろんなユマ・サーマンがいて、でも気づかない程度に生活に溶け込んでいる。

「モ」チモチの木 Part II

 霜月二十日、祖父を助けるべく、「ヘッドフォンアクター」にて丘の上へと走る榎本貴音宜しく、モチモチの木を横切り、医者のところへ向かった豆太の話から早五年。モチモチの木は再開発で伐採され、ひもじく暮らしていた二人は山の権利関係で大金を獲得し、田舎なんて暮らしても仕方ねえと、東京都港区白金に一軒家を構え、ドンペリを飲んでいた。  五年経てど、豆太は高校生であるため、ドンペリは本来飲んではいけない。しかし矍鑠とした祖父が盃を豆太に向かわせ、 「なあに、儂は豆太の歳には、これを毎朝飲

「ム」チムチボディ

 本真ゆりの「授業参観ボディコンママ」を見ていたとき(おなってない)、僕はふと小学校の時一度も同級生にならなかったK君のお母さんを思い出した。良く学校行事で来ていたけど、あれはすごかった。いやボディコンママみたいに露出度高いわけじゃないけど、ヒョウ柄のタイツに厚底ブーツみたいなのを履いて参加していた。すごい近づきにくい人だったけど、いざ話してみると良い人で、人は見た目だけで判断しちゃダメなんだな~と思いつつも、やっぱり怖かった。  そういやこのK君の家に一回だけ遊びに行ったこ

「ミ」ュータント・タートルズ

腹へった パスタ チンして できあがり トリコ見ながら たいらげた 腹ふくれ 動きたくない 哀れだな これじゃあまるで 肉ダルマ デザートに プッチンプリン 食べたンゴ 蓋の裏まで 舐めました 寝る前に ママの財布を 漁ったら 千円二枚 嬉しいな 目を閉じて あの子のことを 考える 勃起したから 射精した この世には 俺より下の 人がいて 下水のとこで 暮らしてる そうさ、あだ名は 下水亀(げすいがめ)

「マ」ッチ売りの少女

 冬の季節、街の通りで、ある少女が近藤真彦のブロマイドを入れたカゴをぶら下げて、 「マッチ、マッチはいりませんか?」とか弱い声で宣伝していた。しかし行き交う人は皆冷ややかな視線で彼女を見るし、中には心無いことを言う人も居る。 「誰も近藤真彦なんて欲しいと思ってねえよ!」 「中森明菜のこと忘れてねえぞ!」 「ほんと、ジャニーズ所属だったから許されていたみたいな感じがあるけど、もうジャニーズじゃないからただの屑ね」  彼女はそう言われて(特に最後の言葉に)深く心が傷つき、泣きそう

「ホ」ルヘ・ルイス・ボルヘス

チュニジアの風を浴びた。それは俺が実際にチュニジアに住んでいるからとかチュニジアに降り立ったその飛行場の外でといった話ではなくチュニジアはエッタドハメンに住む俺の義理の妹が送ってくれた荷物のダンボールを開封した時にその何か不思議で何処か感傷的とも思えるほどの10,000キロほど離れた彼方からこちらまで物が届けられたという現代ではもう当たり前と化してしまったかもしれない事象に人類の先頭に立つ現代人の端くれとして敬意を込めて形容した言葉だ。ダンボールにはチュニジアのお菓子やら研究

「ヘ」ッドショット

 俺は生粋の戦場カメラマン渡部陽一。いつもは中東などの紛争地域にて過酷な戦争の一場面を撮り、世界に平和の必要性を訴える活動をしている。紛争や戦争が起きている地域に生きる無辜の民は劣悪な環境下でも懸命に生きている。それは余りにも悲劇的で、憐れに感じることだろう。  シリアの内戦に巻き込まれた青年にあったことがある。彼は老いて動けない母親と一緒に危険地帯で暮らしている。彼はいつ生きるか死ぬか分からない状況でも屈託のない笑顔で家族を支えているんだ。俺たち日本人はそんな理不尽なことに

「フ」ライングソーサー

「ぜったいくるもん!」  シンタロウはイジけた腰を芝生に下ろし、絶対にUFOは来るという頑とした強情さを、その体勢でもって、ユタカに見せつけた。 「わかったわかった。俺はもう帰るから、お前もちゃんと帰れよ。『UFO』に会えたらな。」  シンタロウの兄であるユタカは帰ってしまった。去りゆく彼の背中を見ながらシンタロウは 『ほんとにユーフォーはくるのに、かえっちゃうなんて!』 と心の中で呟いた。  児童文学の類のように、少年少女にだけ起こる奇跡的な冒険などというものは、現実世界

「ナ」ンチャン

 南原清隆の頬骨を見て不快感を覚える人間はそう少なくない。あの逆スクリームフェイスのような彼は不気味の谷の体現者だ。中には恐怖すら抱く人がいるだろう。これから紹介する少年はそれ故に悲劇的な結末を迎えた。どこにでもいそうな少年の夭逝。それは奇妙な事故だった。  彼は三重県四日市市の小さな産婦人科医院にて生を享けた。生まれつきの虚弱体質であり、日光アレルギーと重度の喘息が原因で小学校低学年から不登校だった。それ故彼は友達が一人もおらず、両親以外で話す人間は、自分の体調を定期的に聞