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想像する力

京アニ殺傷事件の犯人、青葉真司の半生のドキュメンタリーを見た。
「セクシー田中さん」の作者、芦原妃名子さんの死去と同列に語ることは不謹慎かもしれないがどちらも創作物からたんを発した事件だった。

創作物が仮にパクられようが世界は終わらないし、「セクシー田中さん」というドラマが原作者の意にそぐわない内容だったとしても世界は終わらない。

現実には能登地震で多くの人命が失われている。それに比べると創作物への扱いが不当であったことは直接人命には関係ないことのように思えてしまう。

でも、多くの人命が失われてしまった。青葉真司が京アニに逆恨みしたことや、ひとりの原作者が自らの生命を絶ってしまったことは、努力の方向性が間違っていると感じる。

青葉真司被告も一本の小説を書き上げる力、36名の生命を奪う力があれば何か違うことが成し遂げられたかもしれないのにと思う。

芦原さんも創作者であれば、納得いかないテレビ業界をネタにマンガを描いて作品に昇華してほしかった。そんな強かな作家ではなかったのだろう。日テレと小学館が芦原さんを孤独に追い詰めた可能性がある。

文字通り命がけで作品を作っていたのだろう。
たくさんの読者があなたの作品を待っていることは忘れてほしくなかった。

たかが創作物されど創作物。私もものを書く端くれであるが命がけで創作することはできないと思う。自分の文章が勝手に変更されていたらやはり不愉快だと思うが、私の世界が終わってしまうほどの絶望感に支配されることにはならない。私は物書きとしては中途半端なのかもしれない。

創作するって本来楽しいことじゃないだろうか、それを読む読者も視聴者も作品を楽しみたいと思っているはず。原作者にリスペクトしながら遊び心を持って作品を作り上げていくのが創作することだと思う。もちろん、原作者の納得いかない改変は避けるべきだが、その作品に愛情があってドラマ化したいのなら素晴らしい作品になるはずである。

0から有を作り上げることは命を削るほど大変なことでもあると思うが、どうか孤独にならないで大勢の読者を楽しませる作品を多くの漫画家さんたちに描いてもらいたいものです。
そして、創造物には正の力、負の力があることを学んだ。想像力をより良い方向に使いましょう。私の願いです。

なにより尊い命がなくなっていいわけがない。京アニ事件で亡くなった方々、今も後遺症で苦しんでいる方々を思うと本当にやるせない気持ちになる。もちろん、芦原さんの自死にもやるせない気持ちになる。両者のご冥福を心よりお祈りいたします。
それから能登地震で被災された方々の迅速な復興を切に願います。

このような悲劇を繰り返さないためにも想像する力をみなでいったん考え直し、誤った方向に進まないよう他者とコミュニケーションをとる必要性があると感じる。
SNS上でやり取りされる情報もその先には人間がいることを忘れてはならない。
私も大いに気をつけなければいけないなと思う。
人の気持ちを慮るのは難しいことだが、できるだけ大切にしたいし、大切にするにはどうしたらよいか考え続けることが重要だなと思う。


↓こちらでも記事を書いています。興味のある方は読んでみてください。


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