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歴史は革新と保守が織りなす定常波 10/16

〔70〕歴史とは「改革」と「保守」が織りなす定常波
 歴史をみてきて痛感するのは、歴史とは時間軸を直線的に進む線形的存在ではなく、進行方向が正反対の二つの波すなわち「改革波」と「保守波」が重なって生じる「定常波」であるということである。
 定常波とは、逆向きの二つの波が重なり合うことにより、振動するだけで波形が進行しないようにみえる波動である。
 定常波には二つの波が打ち消し合うことで「節=NODE」と呼ぶ不動点が生じる。また二つの波の最大値と最小値が重なることで振幅が最大になる点があり、「腹=ANTI-NODE」と呼ぶが、構成する二つの原波動の方向が逆だから、「腹=ANTI-NODE」が二つあるのである。
 社会変動の要因は「改革」と「保守」という、正反対の方向を向いた二大波動であるが、政体歴史の本質はその合成たる定常波で、これこそ歴史が相似象を成す所以なのである。革新波と保守波はベクトルの方向が正反対なだけで、いずれがプラスかマイナスを論じても意味がない。
 歴史波という定常波(=歴史波)を構成する二つの波が「改革」と「保守」であるが、前者が「腹=ANTI-NODE」に達した時に「革命」ないし「維新」という社会変動が具体化して革命政権ないし維新政体が出現する。後者が「腹」に達した時はクーデタが発生して「反動」政体ないし「復古」政体が実現する。
 定常波(=歴史波)において構成要素の革新波と保守波が同じ規模で打ち消し合うときに出現するのが振幅ゼロの「節=NODE」で、社会は安定し文化は成熟する。
 定常波の特異点である「節」および「腹」は、その性格からおのずから相似象をなすが、時間軸上でほぼ同間隔で現れることが歴史循環と歴史相似象の真因である。
 「節」も「腹」もいつまでも続かず、やがて改革波と保守波のいずれかが優勢となって歴史波は進行するが、定常波のため傍目には揺れているだけで進んでいないように見えるのである。
 波動論でみると右のようになるが、これを色彩論でみることも出来る。社会通念にしたがって革新の色を「赤」、保守の色を「青」とすれば、赤色指数が最大値の領域で現象として「革命」ないし「維新」政権が生まれ、青色指数が最大値の領域で「反動」ないし「保守」政権が生まれるのである。
 具体的な政体には革新と保守が混在するから、これを色彩で表現すれば、「赤」と「青」が加法混合した「紫」か「紅紫」(マゼンダ)になるが、色感として安定しないから下記の事情により加法混合が進み、やがて「白」または「灰」になる。
 色彩の本質はスペクトルであるが、赤青の他の一色すなわち「緑」が赤・青に加わり、加法混合して「白」を示現する。この「緑」が國體なのである。赤と青は相反的存在だから、加法混合して出現する紫ないし紅紫は安定せず、色感に動揺が生じる。これに緑が滲入すると加法混合して白色化する。これが國體の有する歴史調整力の本義なのである。
 ところで、本稿に関し理科系知識人から「経験則に合わない」との指摘を頂いた。
 私見が「物理現象の経験則に合致しない」ということであろうが、私見は社会現象を物理に喩えた比喩で考え付いたばかりの未熟の試論として受け取っていただきたいが、一応目下の見解を下記に示す。
 落合史観の根本をなすものは「歴史進展の原動力は改革波と保守波という正反対の方向(ベクトル)を有する社会思潮のせめぎ合いで起こる」との見方である。
 ここで肝心なのは、「改革波」と「保守波」の関係である。この両波は同一時間軸上を互いに追っかけ合いながら発生する横波のごときものでなく、正反対の方向から正面衝突する縦波のごときもの、という点である。
 そもそもこの両者は、ほんらい人間の心裡のなかに脈動しながら同時存在する粗密波で、発生源が同一なればこそ定常波を成すと私見は観るのである。


 勧進 ここのところ文殊師利菩薩が降りてこられまして、今朝未明に白頭狸は懸案の解答を感得することが出来ました。すなわち平成大停滞の真相、令和大復興の道筋、対露参戦の真意これであります。

よって今より、文殊の御真言を唱える修行に入ります。優婆夷優婆塞および善男善女にはこの際、修行支援の寄進を御願い申しあげます。

 オン アハラシャノウ 三唱  南光房爾應 合掌



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