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〔51〕稽古24 白頭狸の格式を印綬と決定(六訂版につき必読を乞います)

〔51〕推定生時による二通りの命式 六訂版4/8
 ここからは白頭狸の格式を検討していきたいと思います。昭和十六年四月26日生まれの狸の命式をここに再掲します。
 
    天干   生剋名  地支  蔵干    蔵干分野
   年 辛金  正官   巳(戊・〇庚・丙)   中気 庚 偏官
   月 壬水  偏印   辰(乙・癸・〇戊)   本気 戊 偏財
   日 甲木       辰(乙・癸・〇戊)   本気 戊 偏財
   時 庚金  偏官   午(丙・〇丁)     本気 丁 傷官
  
 何しろ八十二年前のことですから、狸の生誕時のことを覚えている人はほとんどいません。
 たった一人、「藤ちゃんがオマンを産んだ時は昼ころやったなあ。藤ちゃんの母親のお竹さんが前の晩から小松原の井口の家に行ってたんやして。ほしたら、オマンの生まれたときに練兵場のドンが鳴ったんやと」と言う人がいました。藤子の次妹の小阪勝子叔母で、これを狸に襲えてくれたのは百一歳の死去より十年ほど前のことです。
 昭和十六年辛巳の年支巳の蔵干は戊・庚・丙ですが、四月節入後から八月節入までの司令分野は中気庚です。四月の月支辰の蔵干も乙・癸・戊ですが、二十六日は次月節入り(五月六日ころ)前十八日間の「春の土用」にあたるため、本気の戊が司令します。
 二十六日の日干辰の蔵干も乙・癸・戊です。司令分野は時間が明確でないと決まりませんが、午前七時十二分までが余気乙、その後は午前九時二十六分までが中気癸、そのさらに後が本気戊となります。したがって、昼頃ならば司令分野は本気戊と見て良いでしょう。
 問題は時支です。「丁度ドンが鳴った」というのは、産声を挙げた時か、それともお産が終わって一息ついたときか、あるいはーーーなどと、いくら考えても判らないのです。
 時支蔵干の分野は刻の中の深浅で決めなければなりませんから、数分の違いが判断を分けるので、均時差と経度差を調整した真正時を用いなければなりません。さいわい四月末の和歌山市生まれは、均時差-1分で経度差+1分を併せると日本標準時とはほとんど違わないので、均時差と経度差を無視したうえで生時を二通り考えます。
 真正生日の四月二十六日は午前九時から十一時までが巳刻、午前十一時から午後一時までが午刻で、ドンが鳴ったということから、丑刻とみてまず間違いないでしょう。しかし午刻の節入が午前十一時四十分ですから、それ以前なら命式では巳刻の筈です。
 ここで、日・月の境目をどのように見るか、という「分界」の問題に遭遇します。ちなみに武田考元師は、その著『四柱推命学詳義一』において「日の初めは標準時間を借りていいますと午前0時からがその一日であります」としています。つまり、日の分界は節入と無関係としているのです。
 また「命理学上の時の区分は12刻で、一日24時間ですから2時間が1刻となっていますが、午前0時から早い子の刻、午後11時から遅い子の刻となり一刻が両日にまたがる」と語りますから、刻の分界も節入とは無関係となります。
 白頭狸の時支蔵干は、仮に生時が前11時40分以前ならば巳の本気丙で、以後が午の本気丁となります。そこで一応、二通りの命式を造って、武田考玄流の格式論を当て嵌めてみます。ここ迄が無料領域です。後は有料領域に入ります。

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