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〔35〕稽古16 井口兄弟の命運審察(その2) 3/8

〔35〕稽古16 命運審察の実例 井口洋と白頭狸兄弟(2)
 この稽古が対象とする四柱推命学は、白頭狸がかつて武田考元先生から習ったものを基にしていますが、白頭狸が独自の工夫を施したところがありますから、それを説明したいと思います。
 それはまず審命の主要目的を運命主体の後天運(大運)の解明に置くことです。理由は、精緻な理論と長い伝統および信奉者の多いことにおいて命理学(四柱推命学)に及ぶものが他にないことです。これほどのものを目先の商売の見込みや旅行の可否など身辺の小事のためにむやみに用いるべきではない、と思うからです。

 人生の岐路に当り今後の針路を定めんとする運命主体(審察対象)にとって何よりも大事なことは、自身の過去を振り返り現在の状況を正しく認識することですが、それを十年単位の大運をもって的確に指摘するのがまさに命理学なのです。
 次に、審察にあたり、狸が基本的に重視するのが運命主体の生日干と各柱(大運・年・月・日・時)の天干・地支蔵干との関係です。これは白頭狸が命理学の根本を陰陽五行すなわち十干と考えるからです。
 ともかく、命理学の根本は五行思想ですから、審察に当っては木火土金水の五気の相互関係すなわち「旺相死囚休」を最も重視すべきことをまず認識せねばなりません。
 ところがこの「旺相死囚休」が命理学で最も難しい所なので、一は後廻しにして、二番目に重要視する「生剋名」から始めます。「生剋名」とは、五行の各気(木火土金水)から対発生した陰陽十干(甲乙丙丁戊己庚辛仁癸)の相互関係を表わす代名詞です。武田先生は「生剋名」と呼びますが俗流命理家は「通変星」など意義不明の用語を用いております。
 かるがゆえに、最初に運命主体の日干と各柱の地支蔵干の関り(生剋名)もって命式を定め、その命式と大運の関り(生剋名)をもって判断するのが命理学の正道、と考えるのが白頭狸です。
 命理家が十干と同等に重視する十二支について、その核心を「蔵干」とみなす狸は、蔵干の生剋名を以て日干の性情および強弱の程度を判定する基準としますが、詳しいことは後述します。

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