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明るい長屋と暗い長屋
江戸時代のことではありません。今から60年前くらいの1960年代の地方都市での話です。幼稚園から小学校低学年の頃、私は長屋に住んでいました。
平屋で部屋が簡単な仕切りで横並びになっている建物です。私の長屋は1世帯に二部屋の4世帯くらいだったと思います。通路と共同の炊事場は土間でしたが建物内にありました。通路の片側は戸が開け放たれていて、昼でも明るかったです。
通路に面した仕切りは障子で縁側があり、開放的でした。夏、縁側に腰掛けて食べたトマトはとても美味しかったです。隣の家のお母さんが子どもを叱る声などは筒抜けでした。運悪く(?)障子を開け放っていた時に集金の人が来ました。母と二人、積み上げた布団の陰に隠れ、息を潜めたこともありました。
プライバシーはあまりありませんでしたが、まだ幼い子どもの私には変化に富んだ面白い暮らしでした。
長屋というのはそういう『明るい』場所だと思っていました。ある時、友達の家へ遊びに行きました。家は長屋でした。土間の通路は窓が小さくて暗く、部屋も薄暗く狭かったです。このとき、同じように長屋と言っても、同じではないと知りました。あそこは『暗い』長屋でした。
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