図書館本 20冊目 『イラク水滸伝』高野 秀行 474P 前半

本書「はじめに」のところで、「水滸伝はご存じのとおり、中国四大奇書の一つ。」と書かれているのですが、私は水滸伝を読んだことがありません。
(残りの3つも何のことやら…。三国志とかですか…聞いたことはありますが…登場人物の名前もちょっとだけわかりますが…パリピ孔明とか…)

昔々、父が漫画で「水滸伝」を読んでいたのを覚えてますが、お子ちゃまだった私には、字が多くて(しかも漢字だらけで)絵も好みでなく、読む気にならない漫画でした。(父は晩年「キングダム」が好きでした。)
私はあらすじも知りません。登場人物も知りません。
それっきり、水滸伝といえば「酔虎伝」な大人になっていました。

なぜこの『イラク水滸伝』を借りたのか。
高野秀行さんの本だからです。
ちょっと分厚いけれど、面白いに決まっている!面白い予感しかない!
(高野さんの本、図書館の開架にある本しか読んでないんですが、好きなんです…)

現在、全8章のうち第4章までを読み終えて、第5章に突入したところです。

今回の取材・探検の場は、ティグリス川とユーフラテス川の合流点付近に広がる、イラクのアフワール(アラビア語で湿地帯の意)。

世界史上には、反政府的な人々や迫害されたマイノリティーが逃げ込んできて住むようになった湿地帯、というのがいくつもあるそうなのですが、このイラクの湿地帯はその中でも最古のもので、近隣の考古学遺跡(シュメール文明)とともに世界遺産にも登録されたということです。

世界史の授業で覚えたことのある「チグリス・ユーフラテス川」、「メソポタミア」、「シュメール」、なんだか懐かしい響きではありませんか。
他にも、多分教科書で知った「バビロン」「楔形文字」「ジッグラト」「アッカド」「アッシリア」、もう、何のことだか覚えてないですけれど、古代の香りがしてきますね。
「バグダード」だけでもワクワクします。

ところがこの湿地帯、反フセイン勢力が逃げ込んで抵抗していた際に、湿地を攻めあぐねたフセインが、怒ってチグリス川、ユーフラテス川を堰き止めて、湿地帯を干上がらせてしまったということです。(1990年代)

なんか、神話とかで怒った神様がやらかしそうな話のように思いました。
最大で日本の四国を上回ったこともある面積の湿地帯の水を抜くって…
世界四大文明発祥の地の川の流れを変えてしまうって…
堰き止めるって…、三年寝太郎を思い出しました(一瞬、力太郎と勘違いしました)。

その後、フセイン政権が崩壊した後、住民が(!)堰を壊して再び水が流れ込むようになり、湿地帯の半分ぐらいが復元されているそうです。(徳島県を上回るくらいの面積)

その湿地に戻ってきた「湿地に住む人々」に惹かれて高野さんはイラクに向かったのです。

治安のことも心配ですし、ここは高野さんを通じてアフワール探検を楽しみましょう。

前半第4章までは、1度目のイラク行きの報告です。
心強い旅の相棒「山田隊長」と、頼れる通訳兼ガイドのハイダルさん(在日イラク人)、なんだか私も安心です。

いろんな方々に出会えて取材を進めて行きますが、イラクでの食事事情にびっくりします。
何でもかんでもとても美味しそうなんですが、歓待に次ぐ歓待に悲鳴も出ないくらいにお腹パンパンになってます。
遺跡を見に行った際に、タクシーの運転手さんからも食事に招待されてます(辞退されましたが)。
鯉の円盤焼き、水牛の乳で作ったゲーマル、食べてみたい!

そして何といっても、湿地の葦の素晴らしさ!
燃料にもなり(ほぼ無尽蔵)、葦それだけで立派な建材にもなります。
写真で見るムディーフ(ゲストハウス、集会所に使われる建造物)の壮大さ、美しさ!とても格好いい!
ススキ程度のものを想像していたら、高さ8メートルにもなるものとか、
舟の棹にもなるくらいの太さがあったりとか、万能が過ぎます!

そして後半、第5章で2度目のイラク旅が始まります。
湿地を旅するために、是非使いたい伝統的な舟「タラーデ」を作る舟大工のもとへと向かいます。

もう、楽しみでしかありませんね。
図書館で「もう一回借りていいですか?」と言いたくもなりますよね。
通勤電車で、半分読むのに1週間かかっちゃいました。








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