図書館本 26冊目 『どれほど似ているか』キム・ボヨン 370P

“世界的評価” 著しい韓国SFのトップランナー、決定版作品集!”
”キム・チョヨプら新世代韓国SFに多大な影響を与え続ける「中短篇の神」がついに日本上陸!”

帯のこの文句に惹かれて借りました。

内容の理解は置いといて、「これは後でもう一回読もう。」とか思いながら、長短いろいろの10篇を次々と読み進みました。

厳しい学歴社会、非常に大きな男女間の格差、ジェンダーについての思い込み、SNSのいいところ、怖いところ、発達障害、年齢…
等などをテーマに、タイムマシン、超人たち、宇宙船、人間の身体に入れられたAI…、と近未来的な要素が絡んで、状況やらがよくわからなくても、想像が追いつかなくても、雰囲気でぐいぐい読んじゃいました。

「どういうことなんだろう」と、ポカーンとしてしまうことも多かったですが、巻末の「作家の言葉」や、池澤春菜さんによる解説や、「訳者あとがき」が理解の助けになり、「あぁ、そうだったの~、あれもう一回読もう…」と、話に戻っていったりもしました。

読み直しながら、「ここんとこ、そういうことかぁ…」と初めて気付かされたり、「意味わからなくてOKだったんだぁ」と納得したりとかすると、あとがきの類いって頼りになるなぁと思います。
理解が深まったり、物語に親近感がわいたりと、物語のバックグラウンド情報は気になります。
特に海外の作家さんでもありますし。

他の本で「あとがき」を読んでると、先に「ネタばれ注意」のように断られていることもよくあり、「本文より先にあとがき読む人いるんだ~」とか思っていましたが、今回は私も本文を読んでる途中に、あとがきなど、巻末に行っちゃいました。
「ちょっと、誰か~」って感じですか。

あとがきの先読み、ありですね。

「作家の言葉」によると、作品によっては、
中国のSF団体のイベント向けに、決まったテーマで書かれたものであったとか、
農作物を買ってくれた人にだけ配布された同人誌に収録の作品だったとか、
いろんな企画があるんですね。

同じ企画に参加している、他の作家さんとかぶるところがありそうだと、設定を変えてみたりとかも。
出てくる惑星を火星にするか、金星にするか、はたまた土星にするか…
他の作家さんが海王星に場所を移すことになったりとか…

柔軟で楽しそうです。


「小説は基本的に小説であるべきなのに、科学が先行してしまっては困ります。むしろ自由に書くことによって、それがSFになることだってある。自分の創作に制限をかけないで欲しい。そうやって書いたものがSFじゃなかったら、それはそれでまた別の話」
と、キム・ボヨンさんはエッセイで語られているそうです。(解説より)

次はどんな物語を書いてくれるんでしょう。
書きたいものを自由に書いたらSFだったり、SFじゃなかったり、楽しみです。




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