図書館本 28冊目『入門 山頭火』町田 康

『口訳 古事記』があまりに面白かったので、この『入門 山頭火』も絶対面白いに違いない、とワックワクで借りました。

「俳句」の棚にあることは、図書館のHPで調べ済みだったのですぐに発見できましたが、「俳句」の棚で本を探したことなんてあったかしら、ないよね~、などとしばらく棚を見ていたら、ありました。

せきしろさん X 又吉直樹さん著の『まさかジープで来るとは』、『カキフライが無いなら来なかった』そして『蕎麦湯が来ない』

面白かったな~、と思い出しました。確か山頭火についても書かれていたはずです。

じゃ、絶対面白いやん、山頭火…

勝手に期待しまくり、「今日からこれを読めるんだー」と、ウキウキで通勤電車に乗り込みました。

ページを開き、目次を通り過ぎ、本文に入って2ページ目、

分け入っても分け入っても青い山

そのまんま山頭火の句が目に入っただけなのですが、それを見た瞬間にもう笑いがこみ上げてきて、「いや、まだ何も言ってないのに、これからなのに、ヤバいなぁ・・・」という状態になりました。

今回ツボにはまってしまったのが、

” おらぁ グズラだどヒヒヒヒ。”

です。(これは、山頭火の句ではありません。念のため。)

電車の中でヤバかったです。
その1行を見た瞬間、鼻はヒクヒク肩はカクカク目には涙で、深呼吸をして読み直そうとするのですが、その行を直視することも、次の行に移ることも不可能な状態になり、電車内読書は秒で終わりました。

” ヒヒヒヒ ” にツボったのか、” グズラだど ” にツボったのか。
電車を降りながら「くっそーっ、町田康ーっ、グズラって何よーっ」と思ってしまいました。
すみません、言葉が荒れました。

まさかの電車持ち込みキケン物だったとは・・・

笑ってしまうところは多々あります。多々です。
おかげで最後まで、真面目に楽しく読み進めました。(そう、真面目に!)
巻末の略年譜は、何度もめくって確認できてお役立ちです。


才能や人柄に惚れ込んでいるからでしょう、句仲間たち(句友・俳友たち)の山頭火への協力、援助、世話焼きが手厚いなぁ、と感心しました。
(著者は、 ”山頭火甘やかし軍団” と表現してくれてます。)

ある時の、市電に飛び込み自殺未遂事件では、その時の、人の縁で寺に連れて行かれ、出家得度することになります。

自身の家族との間には不運なことが満載ですが、窮地を救ってくれる人との縁があるようです。

句の世界に入ったのと、仏門に入ったのが良い縁だったのね、と思いますが、それにより、真面目な性格もあって、人間の完成と句の完成を求めるという、かなり高度な苦悶の道にはまってしまったようです。

自分好みの古書店を開いたり、図書館の正規職員になったりと、ちょっと羨ましい、落ち着いた仕事の経験もあるけれど、心が落ち着いたことはなかったんでしょうね。(いい感じに本だらけの仕事なのに、もったいない・・・、と思ってしまいますが。)

行乞流転の旅に出たのも真面目さのせいですね。
つら過ぎてしょうがなくなったりすると、素直に句仲間(句友・俳友)を頼ります。スマホはないので、郵便で助けを求めます。
アドレス帳(懐かしいっ)とか持ち歩いていたんでしょうか。
ナビもないし、路線検索も簡単予約もできないけれど、九州、四国、中国地方と、動き回れるんですね。僧衣で、ぼろぼろでも。

句仲間も、寝床、食事、酒の提供、句会の開催、金銭援助まで、あきれて見捨てたりせずに、優しいです。(自由律俳句の人ってそうなの?)
山頭火のこと、好きなんですね。この人たちにほっとします。
「賛同します!」の思いですか。人脈強い!

山頭火、入門できてよかったです。
改めて、お酒には気をつけようと思いました。
その流れで『しらふで生きる 大酒飲みの決断 著・町田康』も再読したいです。








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