2024 高松宮記念の見解

 例年通りに雨が降り、重たくタフな馬場となった今年の高松宮記念。
 ルガル、ソーダズリングなどの4歳馬が躍進を続けるのか。
 それともメイケイエール、ロータスランドなどのラストラン組が有終の美に初GⅠ勝利を飾るのか。
 はたまた、同舞台で父が香港馬に敗れた借りを、娘のナムラクレアが同じく香港馬相手に返すのか。

 色々なことが予想される本レース。
 ということで、最近時間が余り取れていないのですが、勝手ながら見解を述べさせて頂こうと思います。

 1枠1番 ビッグシーザー
中京1200は二戦二勝とこの舞台との相性よし。近走は重賞でも安定した成績を残しているが勝利までは一歩届かず、特にルガル、トウシンマカオとはどちらとも二戦二敗と現状の限りでは力の差がある様子。
ただし今回は重たくなった馬場での勝負、血統面を考慮すれば逆転は不可能ではないかもしれない。それでもテン乗りの吉田隼人と最内枠はプラスに捉えきれない部分がある。

1枠2番 マッドクール
GⅠも含めて短距離での安定感があり、大敗したレースも香港スプリントは馬体のガレ、CBC賞は斤量58.5でフラついた走りをしていた、と敗因が明確。順調に仕上げてきている今回は力を出し切れるだろう。
中京という舞台もよく、1400以下では五戦三勝。うち一つの負けは前述のCBC賞で、もう一つはシルクロードS。このレースで本馬に先着した二頭、ナムラクレアとファストフォースはその後昨年の高松宮記念の一二着馬となっており、その三番手と考えれば今回は勝ち負けに食い込める力があると見ていい。ノーザンダンサーを濃く内包する血統からも、今回の渋った馬場は合うのでは。

2枠3番 ナムラクレア
実績NO1。重賞での勝ちっぷりやGⅠでの安定感からも、現役最強スプリンターと呼んでも差し支えはない。去年の高松宮記念を見るに、今の中京の馬場も対応は可能だろう。
ただ今回は調教での反応の悪さを見せており、良い時と比べるとやや本調子でないような様子。加えて前走からの距離短縮でのGⅠ挑戦は初めて。恐らく一番人気になることだし、不安要素が多いのであれば軽視も可。

2枠4番 モズメイメイ
逃げの形が恐らくベストだが、古馬混合の1200ではその形をとれたことがないため例によって今回も恐らく番手。重賞では可能性もあるがGⅠ級のペースと相手関係ではやはり難しい印象。調教も特別良いようには見えないし、高い評価はし辛い。

3枠5番 トウシンマカオ
重賞二連勝の勢いと内容は評価出来る上、特に前々走の京成杯は強い勝ちっぷり。古馬になって高い成長を見せているルガルと比べても、ここに来て遜色のない成長。能力は一番である可能性すらある。
ただ昨年の負け方や血統から考えると今回の馬場は合わないだろう。加えて去年のシルクロードSでもナムラクレア、ファストフォース、マッドクール相手に離されており、この舞台の適性も今一つといった印象。鞍上ルメールも短距離と重馬場ではやや成績が落ちるイメージだし、人気ほどの評価はし辛い。

3枠6番 ルガル
前走の勝ち方は非常に強く、ここに来ての成長を窺えさせる。だが完璧に立ち回ったことと馬場が向いたこと、負かしたアグリ、エターナルタイム、サンライズロナウドはみなもう1f伸びた距離の方が良いだろうことを考えると、着差をそのまま能力に当て嵌めるのは危険。
しかし今回も馬場は向きそうだし、調教は非常に良いため上位評価でも間違いはないだろう。鞍上の西村淳也も初GⅠ制覇には十分足る騎手。
一点、スタートがあまり上手くないことだけが、先行する馬の多い今回においては不安。

4枠7番 テイエムスパーダ
恐らく逃げる、というか逃げの手をとらなければ勝算なしと思うので今回もハナに拘るハズ。時計の出る馬場でのハイペースな逃げを真骨頂とすることと、そもそもGⅠレベルでマイペースの逃げは打ちにくいであろうことを踏まえると、今回は理想の競馬とはかなりほど遠いものになると予想される。重賞級でもう一度穴を開ける馬だとは思っているが、ここでは少し推し辛い。

4枠8番 ソーダズリング
初の1200となるが、その点に関しては彼女の高いスピードを鑑みれば十分対応可能だと踏んでいる。能力も斤量と叩きというハンデありきとはいえ、ナムラクレアに勝利しているのは相当なものを窺わせる。
注目すべきは経験値の方。ただでさえGⅠの1200というペースに初見で対応することを迫られる上、本馬は牡馬混合重賞自体初出走。内目の枠で男馬たちに揉まれながらこの重い馬場をきついペースで追走する、これを四歳になったばかりの牝馬が初見で行うには相当に抜けた能力が求められることだろう。
血統的にも1200よりはもう少し長い方が、という印象だし今回は軽視。

5枠9番 シャンパンカラー
約八ヶ月の休み明け一発目が初ダート、という前走は度外視してよい。調教も見違えるほどによく、GⅠを勝った高いポテンシャルを感じさせる。
ただこれまでのレースぶりからも1200というイメージは正直湧き辛い上、ベストは東京。上がりはかかった方が良さそうなので今の馬場なら一発ある可能性は否定出来ないが、別の舞台で見直しをしたいというのが正直なところ。

5枠10番 ビクターザウィナー
珍しい香港からの参戦馬。香港短距離の舞台でGⅠを勝っている高い能力、またテンも非常に速いため楽に前に行ける先行力。ウインカーネリアン、テイエムスパーダ辺りとの兼ね合いを考えるとハナはないと思われるが、番手でも問題はないため、ここでも実力は上位だと思われる。
しかし現在の馬場に対応できるかどうかは分からない点がある。香港は洋芝なため日本よりも重馬場適性が高い馬が多いと思われがちだが、実は馬場が重たくなることは極端に少ない。なので現在のような馬場は経験値が薄い可能性があり、おまけに左回りは初。ノーザンダンサーを濃く内包している血統から見てもこなせる可能性は大いにあるが、香港馬だからと信用を置き過ぎるのも危うい。

6枠11番 メイケイエール
今回がラストラン。中京1200はベストと呼んで良い舞台で、一昨年のセントウルSでの勝ち方はGⅠ級の素質を感じさせる。だが最近のレースぶりや調教から見ても衰えがあるのは否定出来ず、この馬場と気性難の相性も最悪。最近はスタートを上手く決められないことも多く、それでも理想とする競馬が出来れば上位入線出来る力はまだあると思うが、その再現は難しいだろう。

6枠12番 ロータスランド
こちらもまたラストラン。そして同様に、最近は追走にも苦労しており衰えを感じる。そもそもベストは1400だと思うのだが、今のような馬場なら1200でも地の利を得られるため走ることだろう。しかも直近はピンク枠ばかり引いていた中でのこの枠は見直しも十分に可能な好枠。チャンスはある。

7枠13番 ウインカーネリアン
初の短距離。ベストは確実にマイルだが、高いスピードを持つためここでも逃げの競馬が打てるハズ。問題はその上で追走ペースに対応出来るかというところだが、その点も概ね大丈夫だと見ている。
着目すべきは馬場。血統的には熟せそうに見えるが、これまでのレースぶりからは速い時計の方が持ち味を発揮するタイプ。今回の重馬場では遅れをとる可能性があるため、その点はプラスには捉えきれない。

7枠14番 ママコチャ
前年のスプリンターズ覇者で、現役唯一の日本の短距離GⅠ馬。初の1200で重賞二着からの初GⅠで勝利、と能力が本物であることには疑う余地もない。前走の負けも、叩きと不利な外枠であったことを考えれば大した問題ではない。
ただし絶好の形は恐らく内目先行であると考えると、この枠では少し難しさがあるように思う。加えて重たい馬場もある程度なら熟せそうなところだが、血統的に現在の中京の馬場は何とも言い難いところ。

7枠15番 ディヴィーナ
初の短距離。逃げの形も打つ馬だが、ペース的に今回は十中八九後方から。左回りという条件は合うように思うが、これまでのスピードを考えるのに1200は間違いなく短い。
ただ今回の馬場と、先行勢が総崩れするような展開になりさえすれば一発くらいは。

8枠16番 ウインマーベル
トウシンマカオ同様に重賞二連勝中。そしてスプリンターズ二着と高い実績を持ち、短距離での強さを窺えさせる。重たい馬場も苦手としていたが前走で克服。というよりはスタートさえ決められればどの条件でもやれるタイプ。能力は現役でも随一。
ただ最善の競馬はママコチャ同様に内目の先行だろう。そして重馬場もやはり他馬と比較すると決してプラスにはなるわけではない。今回は難しい競馬を強いられることになると思われる。

8枠17番 マテンロウオリオン
初の1200となった前走は正直思っていたより対応出来た印象。純スプリンターとも思えないので、今回の時計のかかる馬場の方がチャンスはあると思われる。
今の中京の馬場とは正直合うイメージが湧かないが、鞍上とこの枠はかなり怖い。

8枠18番 シュバルツカイザー
重賞ではあまり良い成績を残している馬ではないが、タフな条件でのパフォーマンスは高い。おまけに外枠の方が良い競馬の出来るタイプで、大外の今回はベストと言ってもいい。血統的にも今の馬場は大いに合いそうだ。
ただ中山函館札幌と勝ち上がってるレースは全て小回りなため、中京は微妙かもしれない。左回りも何とも。

 ◎マッドクール
 ◯ルガル
 ▲ロータスランド
 △ビッグシーザー

 有力だと思うのは大体この辺りでしょうか。
 ただ正直、今回は10回やれば10回勝ち馬が変わるほどの大混戦だと思っているので、こうなるだろうという完璧な想定は中々に難しいです。
 一度きりしか行われないレース、その一度で正解の騎乗が出来る騎手の見極めというのが、大事になってくるでしょう。
 いずれにせよ、全ての陣営にとって悔いのない競馬が行われるように祈っております。

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