Pallavolo Serie A 23-24総当たり統計

前回は各チームの主要な統計値ーブレイク率、サーブ、アタック、レセプション、ブロックーについてのまとめたのだった。

「この数値って結局弱いところから固めて取ってつじつま合わせになってるだけなんじゃないの?」というのが気になる年ごろというのはあると思う。今回はそういう素朴な疑問にこたえるべく、レガ公式の統計表を格闘して各種データを総当たりテーブルの形式でまとめてレビューしてみた。


ブレイク

ブレイク率の表を以下に示す。当然、上位チームのほうがブレイク率は高い。また、トレントの被ブレイク率が一貫して低く(サイドアウト成功率が高い)、今季の安定した戦いぶりをよく表している。もともとサイドアウトの時は集中力が高いチームだとは思っていたのだけど。

カード別ブレイク率

サイドアウト率とブレイク率を改めてまとめると下のようになる。

サイドアウトとブレイク

サーブ

エース率の表を見てみよう。全体のエース率という意味ではペルージャ7.9%、ピアチェンツァ 7.8%、トレント 6.5%だったのだが、ペルージャとピアチェンツァは下位のチームから固めどりした印象だ。一方でトレントは下位チームに対するエース率があまり高くない(最終節のパドヴァ戦ではメンバーを落としたというのもある)。上位6チームの対戦に限って集計すると、上位3チームのエース率はすべて 7% 台前半でほとんど差がない。

エース率

また、縦のラインを見ていくとトレントとモンツァの被エース率の低さが目立つ。モンツァはレセプション自体のスコアはそれほどでもなかったわけで、エースを防ぐ、とりあえず上げればカショパがどうにかしてくれる、というコンセプトがあったのかもしれない。逆にペルージャはレセプションの良さのわりにエースを食らいやすいようだ。
つぎに、エースではなくサーブエラーの表も作ってみる。「格上に対してはエラーのリスクを取ってサーブで攻めるべき」という意図を読み取ることができるのか?

サーブエラー率

表を見ると確かにその傾向はあって、特別にエラー率の低いヴェローナを除くと、右上ブロック(上位チームが下位チームに対してサーブを打つ)の平均が 17.6% なのに対し、左下ブロック(下位→上位)の平均は 21.6% と明らかな差がある。
また、上のエース率の表と合わせると、トレントは下位チームに対してはあまりリスクを負わず安定したサイドアウトで逃げ切る、ペルージャは下位に対しても強いサーブを打って力でねじ伏せる、という戦い方の違いが見える。
そして、ヴェローナに対してはどのチームもエラー率が低い。

レセプション

先にレセプションを見よう。ポジティブ部門(Prf+Positive) とネガティブ部門の表が以下。

レセプション(ポジティブ)


レセプション(ネガティブ)

他のテーブルに比べて色がまだらになっている部分が多く、順位との相関が薄いことがうかがえる。ネガティブの表を縦に平均すると、あまり見ない「サーブ効果率」の情報になる。ちょっと脱線するけど「エースは少ないけど効果率は高い」チームというのはあるのだろうか?
ということで散布図を作ってみると以下のようになる。

エースと効果率の相関

左上のチーム(トレント、チステルナ)はエースが少ない割に効果率が高く、右下(ピアチェンツァ、モンツァ)はその逆。このくらいの乖離に意味があるのか、ということを統計的に説明することはなかなか難しいのだが、とりあえず傾向としては示せた。ピアチェンツァとモンツァが同じ属性にあるというのはちょっと意外だよね。

スパイク・ブロック

スパイクの表を見ると、予想通り上位のチームは下位のチームと対戦するとき決定率が高いんだけど、ヴェローナ戦だけは相対的に決定率が下がっている。そしてブロックの表を見るとヴェローナは競合に渡り合える強力なブロックを持っているということがわかる。ミラノもブロックが強い。
ちなみにヴェローナはモデナとともに被ブロックが多い。

スパイク決定率


ブロック数

まとめと感想

表を縦に見ていくと、サイドアウトや被エース、被ブロックのような「裏側」の情報を集計できるということは収穫だった。また「格上に対してリスクを取ってサーブで攻める」が形として示せたのもよかった。
毎回毎回、ヴェローナのところだけ色味が変わってて、ストイチェフのエキセントリックな戦いぶりが目立った。