いつの間にやら
寝てる間に降ったらしい夜雨はベランダに干したTシャツをびっしょりと濡らしてしまって、もう一度洗うのも手間だから竿にかけたままでいたらいつのまにか四日も経っていた。日が経つのは早い、切ったばかりの髪が伸びるのも、冷蔵庫の下に埃が溜まるのも、食べ終わったカレー皿が茶色くカピカピになるのも、あっという間である。今は夜で、私は寝る前のデザートにとっておいた冷凍のブルーベリーを解凍するべく、ボウルにかさ半分くらいを移した。ぽろぽろと袋から溢れるブルーベリーの粒は小粒だけれど、自然に解凍されるまでは少しだけ時間がかかるからそれまで本を読んだ。その本はイッセイ・アラタの書いた短編集で、古本屋で二百十円くらいした。その本の中には〈石ころ兵〉や〈ダイダラホシバチ〉など架空の生き物がわらわらでてくる。ベッドに寝転がって1時間くらい読んだ。ブルーベリーはすっかり解凍が終わって、きゅうりの塩漬けみたいな食感になってしまった。
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