R5予備論文 刑事訴訟法

<コメント>
・設問1の「前3条の・・・」条文引用に対して207条1項を指摘するのを忘れました。
・付加勾留の論証はうろ覚えであり、全く自信ありません。

<再現答案>
第1 設問1
1本件住居侵入・強盗致傷(以下「本件強盗等」)の事実に本件暴行の事実を付加して勾留することができるか。
2「前三条の規定による勾留の請求」とあることから、法は勾留の前提として逮捕を前置することを要求している(逮捕前置主義)。これは、逮捕・勾留のそれぞれの段階において、公平中立な令状裁判官により二重の司法審査を経ることによって、被疑者の人権保障を図る趣旨である。
そして、逮捕の令状審査は「被疑事実」(201条1項)を単位として行われる(事件単位の原則)。とすると、勾留は、逮捕と同一の被疑事実についてのみ、請求することができるのが原則である。
もっとも、勾留の理由・必要性が認められる別罪の被疑事実がある場合には、かかる事実についても勾留請求を認めた方が、被疑者の身柄拘束期間の短縮につながる。
よって、別罪の事実については勾留の理由・必要性が認められる場合には、これを本罪に付加して勾留請求することが認められると解する。
3本問では、本件暴行の事実につき勾留の理由・必要性が認められる。よって、本件暴行の事実を本件強盗等に付加して勾留することができる。

第2 設問2
1 本件強盗等の事実について一度勾留をしているが、同一の被疑事実について再勾留をすることができるか。
2 逮捕・勾留は「被疑事実」(201条1項)を単位としてなされる。そして、身柄拘束期間につき法が厳格な制限を課していることから(203条~208条)、原則として同一の被疑事実について、再勾留できないのが原則である。もっとも、勾留に先立つ逮捕については、再逮捕を認める規定がある(199条3項、規則142条1項8号)。よって、法は同一の被疑事実についての再度の身柄拘束を許容しているといえる。また、事後的に重要な証拠が発見された場合には、真実発見の必要性もある(1条)。
3そこで、①被疑事件が重大犯罪であり、②事後的に発見された新証拠が重要なものであり、③再勾留の必要性・相当性が認められる場合には、再勾留がみとめられると解する。
4(1)まず③の再勾留の相当性について、確かに一度目の勾留では、甲は勾留延長期間の満了まで身柄を拘束されていたため、再勾留をすると甲に対する不利益が大きいと思える。
(2)しかし、本件強盗等は重大犯罪である。
(3)また、甲を一度目の勾留から釈放した後に、別件で逮捕された乙が、本件強盗等につき、甲と共謀の上実行に及んだことを供述した。また、乙の携帯電話を解析したところ、本件強盗等について、甲との共謀を裏付けるメッセージのやり取りが記録されていた。そして、これらにより甲の嫌疑が濃厚となった。とすると、事後的に重要な新証拠が発見されたといえる。
(4)③のうち再勾留の必要性について、甲は本件暴行の事実で送致された際に一度所在不明になっている。そして、本件強盗等は本件暴行よりも重大犯罪である。とすると、甲には本件被疑事実についても逃亡のおそれがあるといえる。よって、再勾留の必要性が認められる。
(5)以上(1)~(4)を踏まえると、甲の再勾留が認められるといえる。
5よって、裁判所は甲を勾留することができる。

以上

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