R5予備口述 1日目民事


<パネル再現>

<QA再現>
■主査
◇私(内心)

■お手元のパネルに事例の概略が記載されていますので、これから読み上げます。XとY1間の賃貸借契約について特約の記載があるので、適宜目を通して下さい。
あなたはXから相談を受けた代理人Pです。Xからは次のような相談を受けています。
XはY1に対して甲土地を賃貸しました。Y1は甲土地の引渡を受けた後に、甲土地上に乙建物を建築して、乙建物をY2に賃貸しました。しかし、XはY1に対して賃料の支払を怠っているため、Xは甲土地を取り戻したいと考えています。ここまでの事例はよろしいですか?
◇はい。

■それでは、XのY1に対する訴訟物は何ですか?
◇はい、賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求権としての建物収去土地明渡請求権です。

■訴訟物の個数は何個ですか?
◇はい、一個です。

■そうですね、ではY2に対してはどのような請求が考えられますか?
◇はい、建物を退去して、土地を明け渡すよう請求することが考えられます。

■そうですね、ではその場合の訴訟物は何になりますか?
◇はい、所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権です

■先ほど、建物を退去してという事を言っていましたけど、訴訟物に建物退去がつかない理由を教えてもらえますか?
◇えー、建物退去というのは執行開始の要件に過ぎないのと、所有権は土地を使用収益するための絶対的な権利なので、建物退去は土地の返還請求の中に含まれていると考えました。

■はい、では請求原因事実は何ですか?
◇はい、原告所有・被告占有なので、
・Xは甲土地を所有している
・Y2は、乙建物を占有して、甲土地を占有している
です

■はい、ではY2としてはどのような抗弁が考えられますか?
◇はい、賃貸借契約に基づく占有権限の抗弁です。

■そうですよね。ただ、本問では賃貸借契約はXとY1の間で成立したものです。Y2が、Xに対して、XとY1の間で成立した賃貸借契約を抗弁として主張できる理由を教えてもらえますか?
◇はい、えー・・・
まず、Y1はXに対して甲土地の賃借権を有しています。
で、Y1が甲土地上に乙建物を建築した時点で、Y1の賃借権は乙建物に従たる権利として付着します。
で、Y1がY2に乙建物を賃貸した時点で、XY1間の賃借権も建物に付着した従たる権利としてY2に貸したことになります。
なので、結論としてY2は従たる権利としての賃借権をXに主張できることになると考えました。
(確かに・・・。なんでY2がY1の賃借権を主張できるんだろう。・・・従たる権利?)

■はい、では、XはY2の主張に対して何を主張しますか?
◇はい、賃貸借契約の解除を主張します。
(あれ?突っ込みが来ない。従たる権利で良かったのかな?)

■そうですよね。では、通常の催告解除の場合と無催告解除の場合でどのように要件事実が異なるか、まずは催告解除、次に無催告解除の順に言ってもらえますか?
◇はい、催告解除の場合には、催告と催告から相当期間が経過したことと解除の意思表示が必要になります。
無催告解除の場合は、背信性を基礎づける事情と解除の意思表示が必要になります。
(本問では無催告特約は無いからこれで良いはず ※この時点でパネルに無催告特約の記載があるのを見落としていました。)

■無催告解除の場合は、無催告で解除できる旨の合意がなくてもできるんですか?
◇はい、本問では無催告解除特約がないので、特約の事実を主張する必要はありません。
(泥船?大島本には特約がなくても無催告解除できる事例が載っていたはず。)

■本当に?
◇失礼しました。本問でも無催告解除の特約がありますので、無催告解除の特約の事実も必要となります。
(ん?なんか様子がおかしい ※パネルを見直す
あ、無催告解除特約がある。しまった。)

■そうですよね、無催告解除特約の事実を摘示する必要がありますよね。
では、本問特約では2カ月の未払で無催告解除できる旨の特約がありますが、本事例において2カ月の未払だけで解除できますか?
◇いえ、賃料未払を理由とした解除をするには3カ月の賃料滞納が一般的な相場になりますので、できません。2カ月では背信性を基礎付けるだけの延滞があったとはいえないと考えます。
(これ、前に調べたことがある。解除に必要な賃料未払期間の一般的な相場は3カ月だったはず。一応、この点も触れておこう。)

■はい。では本問の事例では賃料の滞納が1年になっていますが、この場合は解除できますか?
◇はい、解除できます。一般的な相場である3カ月から大きく乖離していますし、1年という期間の滞納は背信性を基礎づける事情としては十分に足りると考えます。

■はい。では、事案を変えて、あなたはY2の代理人Qです。Y2から次の相談を受けています。
「Xが私(Y2)に退去請求をしているのは、Y1がXに賃料を支払わないせいだ。Y1はひどい奴だ。私(Y2)は、「Y1は卑劣な人間である。私はY1に対して1000万円の損害賠償請求をする」と書かれたビラをY1の家庭ではなく職場にFAXで送りたいと思っている。協力してくれないか」といった相談を受けました。
あなたはこの依頼を受けるべきですか?
◇依頼を受けるべきではありません。

■それは何故ですか?
◇はい、職務基本規程14条で違法行為の助長は禁止されていますし、弁護士であるQがそのような行為をすることは弁護士の品位・信用を毀損することになるからです。

■違法行為についてもう少し詳しく聞かせてもらえますか?
◇はい、「Y1は卑劣な人間である」といった旨のビラをばら撒くことは侮辱罪にあたりますので違法行為にあたると考えました。

■Y2がY1の家庭ではなく職場にばらまきたいと思っている点についてはどう思いますか?
◇はい、家庭ではなく職場でばら撒くということは公然性が認められることになりますので、違法性・不当性を根拠付ける事由になると考えます。

■損害賠償1000万円という点についてはどうですか?
◇はい、1000万円の損害賠償は根拠がないことですし、1000万円もの損害賠償請求を受けているという事実をふれまわることはY1の社会的信用を低下させることになるので、違法性・不当性を基礎づける事由になると考えます。

■はい。私からは以上ですが、何かありますか?(副査に向かって。副査、首を横に振る)はい、ではこれで終了になりますので、退室頂いて結構です。
◇はい、ありがとうございました。

(コメント)
所要時間は10分~15分の間だと思います。
パネル記載の特約を見落とすというやらかしをしました。一応、主査に促されて気付く事ができたので大丈夫と信じたいです。
特約以外の問答では突っ込みを受けなかったので、OKだったのか諦められたのか分からずやや不安です。

※なお、試験から2日たっているのでパネルの再現精度は低いです。もうちょっといろいろ書かれてたと思いますが、試験内容とはあまり関係の無い内容だったと思います。

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