R5予備論文 民事訴訟法

<コメント>
・設問1でフリーズしたので設問2から書きました。
・設問1は問題文を何度も読み返して試験終了20分前に気付いて大慌てで書きました。

<再現答案>
第1 設問2
1 Xは、和解を詐欺もしくは錯誤により取り消して(民法95条1項・96条1項)、①訴訟の控訴審の期日指定の申し立て(民事訴訟法(以下略)93条1項)をすることが考えられる。
2 まず、和解を取り消すことができるか。和解調書は「確定判決と同一の効力」(267条1項)を有するため、和解の取消は既判力(114条1項)に抵触することにならないか。
3 一般的に、確定判決には既判力(114条1項)が生じる。既判力とは、確定判決の通用性ないし基準性をいう。その趣旨は紛争の蒸し返し防止であり、正当化根拠は当事者への手続き保障にある。
そして、かかる趣旨から既判力は「主文に包含するもの」(114条1項)、すなわち訴訟物の存否の判断について生じる。とすると、和解の取消は、訴訟物の存否の判断と実質的に矛盾する主張であるため、既判力により排斥されるとも思える。
4 もっとも、和解とは互譲により柔軟な紛争解決を図るものである。その趣旨は、当事者の意思を尊重しつつ、紛争の抜本的解決を図る点にある。
とすると、「確定判決と同一の効力」とは、当事者意思の尊重の観点からは、錯誤・無効事由がある場合には取消が許容される一方で、錯誤・無効事由が無い場合には、紛争の抜本的解決のために、既判力と同じ効力を有するものと解する。
5 本問では、XはYの虚偽の説明を信じて和解に応じている。とすると、錯誤もしくは詐欺による取消事由があるといえる。よって、Xは本問和解を取り消すことができる。
6 和解を取り消した後の手続上の手段として、①新訴提起と②旧訴の期日指定の2つが考えられる。新訴提起は審級の利益がある一方で、旧訴の期日指定は従前の訴訟資料・状態を流用できるという利益がある。そこで、和解を取り消した者は、①と②の手続きを任意に選択できると解する。
7 本問では、Xは控訴審がそのまま継続していれば勝訴していたと考えている。とすると、Xは旧訴控訴審の期日指定の申立をするべきである。
第2 設問1
1 Yの主張の根拠は、②訴訟が再訴禁止効(262条2項)に反することを理由とするものである。
2 本問Xによる①訴訟における訴えの変更は、新訴提起と訴えの取り下げ(261条1項)により構成されている。
3 そして、訴え変更時点で控訴審だったから、第一審判決という「終局判決があった後」になされた訴えの取り下げにあたる。
とすると、Xは「同一の訴え」を提起することができない(262条2項)。では、②訴訟は「同一の訴え」にあたるか。
4 この点、262条2項の趣旨は、紛争の抜本的解決と裁判を徒労に帰せしめた事に対する制裁にある。一方で、事情変更により新たな訴えの利益・必要性が生じた場合には、再訴を認める必要性がある。
そこで、「同一の訴え」とは、①当事者及び訴訟物の同一性に加えて②訴えの利益・必要性の同一性が認められる訴えをいうと解する。
5 ②訴訟は、当事者はXとYで同じである。また、①訴訟の変更前の訴訟物と②訴訟の訴訟物は、Xの甲土地所有権に基づく乙建物収去甲土地明渡請求権であり、同一である(①充足)。
しかし、①訴訟でXが訴えを変更したのは、Yが乙建物の所有権がYに帰属しないと主張したためである。にもかかわらず、①訴訟の判決確定後にYが乙建物が自己の所有に属することを主張した。
とすると、Xには改めて乙建物がYに属することを前提として、上記訴訟物について争う利益・必要性が認められる(②非充足)
よって、②の訴えは「同一の訴え」にあたらないため、却下されない。
以上

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