⑧弁護士に訴訟を依頼するか迷う

 会社から解雇通知を受けた後、私は弁護士にこの件を相談しました。その法律事務所は、zoomで相談できて、初回相談が無料の事務所でした。相談した弁護士は、試用期間中の解雇であることは、会社側に有利な事情であること、訴訟の審理を行う裁判官は、法律の専門家であることから、法務担当者の解雇については、労働者側に不利な判断がされる可能性があること、仮に訴訟中に別の会社に就職した場合、訴訟での判決で認められる未払賃金から別の会社での収入が4割まで減額されることを述べました。全体的に私に不利な状況であるニュアンスでした。
 また、仮にその弁護士に訴訟代理人に依頼した場合、判決または和解により原告が得た金額の30%+A社の従業員として復帰した場合、年収の30%を報酬としてその弁護士に支払わなければならないとのことでした。その法律事務所は、着手金をもらわず、成功報酬型の報酬体系でした。私の場合、年収の30%というと、それだけで300万円を超えます。率直に言って、かなり高いと感じました。労働訴訟はほとんどが和解で終わるので、会社に復帰したときのことは考えなくてもよいのではないかと思う人もいると思います。しかし、判決で終わる場合もないわけではありませんし、解雇した従業員が会社に従業員として戻ってくることは会社側が一番恐れていることですので、労働者側としては「このままだと私は会社に復帰するかもしれませんよ。いいんですか?」という態度を示してプレッシャーをかけることが高額な解決金を得るための戦略になります。
 私は、法科大学院修了後、司法試験に合格し、件数は少ないですが訴訟代理人として活動した経験もあることから、この件は弁護士には依頼せず、本人訴訟を行うことにしました。この判断は、後から考えると正解でした。

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