③入社してから入社3か月まで

 入社時の試用期間は3か月間とされており、3月末日が試用期間の満了日でした。試用期間も試用期間満了後も待遇はまったく変わらなかったし、今まで他の会社で試用期間後に本採用されなかったことはなかったので、試用期間のことは特に意識せずに勤務していました。
 3月下旬、突然上司のB部長からTeamsで、「試用期間を3か月延長する。」と伝えられました。なお、Teamsとは、マイクロソフトが提供しているビデオ会議のツールです。試用期間が6月末まで延長されることになりました。試用期間延長の理由は、私が行った社内の関係者に行った回答が法的に正確ではなかったということでした。
 試用期間の延長が告げられたことで、私は「もしかしたら解雇されるのではないか?」と不安になりました。労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めており、一般に解雇には高いハードルがあります。無断欠勤を繰り返すとか、同僚に暴言を吐く等の著しい非違行為がなければ解雇は有効とはなりません。ところが、試用期間中は解雇の有効性が認められやすいという判例があるのです(三菱樹脂事件。最高裁昭和48年12月12日判決。)。このとき、私は三菱樹脂事件の判例の内容を少し誤解していました。会社が試用期間を延長するということは、延長した3か月間で私を解雇するネタを探し出し、試用期間内に解雇しようとしているのではないかと考えました。私は、解雇されないように、勤務態度に気を付けるようにしました。例えば、私の同僚は週1回しかオフィスに出社していませんでしたが、私はほぼ毎日出社して、真面目に勤務していることを示そうとしました。

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