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小説【ノキさんと俺】4

【ノキさんと俺】4

ともかくノキさんってのはすげえ。俺はリスペクトしている。

歳は俺の親父くらいかも。『俺たち団塊の世代がどうのこうの』って言ってたから。

でも歳なんざぁ関係ねぇ。

あの人がドライバーを持つと手に吸い付いてんじゃないかってくらい一心同体になってる。俺はノキさんがドライバーやペンチやニッパー何かの工具やネジを落っことすのを見たことがねぇ。

それから握力が半端なく強い。つまむ力も凄いんだ。親指と人差し指で十円玉を折れ曲げちまうし、電動車椅子だってひょひょいと持ち上げるくらい怪力なんだ。電動車椅子って50kgくらいあるんだぜ。

俺も施設の中はで一番の力持ちだけど、ノキさんには全然かなわねぇんだ。

そんでもってノキさんはそういうこたぁ全然自慢しない。力持ちなのに凄く器用。

そこがカッコいい!

あの歳であんな力持ち今まで見たことないぜ。

前に俺が興味半分で、

「ノキさん、あ、あのぅさ、このマシン一回全部バラしてもう一度組み立てることって出来んの?」

って聞いてみた。そうしたら返事したと思う?

「ああそうだな〜。半日あれば出来るかもな~」

だって。俺はてっきり三日ぐらいかかるのかと思っていた。

痺れるぜまったく!

ノキさん曰く、足回りが単純だから訳ないらしい。俺はそれまでタイヤって丸けりゃいいって思ってた。

つづく

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