アルセーヌ・ルパン#4 カリオストロ伯爵夫人」大手町三井ホール

2024年8月31日朗読劇「アルセーヌ・ルパン#4 カリオストロ伯爵夫人」@大手町三井ホール を観劇してきました。
声優さんによる朗読劇は2回目の参加でしたが今回も迫力に圧倒されました。

各出演者の感想



まず、関智一さん。おどけるシーンではユーモラスな声色、決めるところでは鋭く、そしてクラリスに優しく語りかけるお声が非常に印象的でした。変幻自在なお芝居が、ルパンの持つ多才さを存分に引き出していました。最後の挨拶でも笑わせていただきましたし、ここちゃんへのナイスな振り、ありがとうございました。

木村良平さんが演じるモーリスルブランは気の良い兄貴としてルパンに振り回されながらも、その人の良さで断りきれない相棒感が愛らしかったです。退場時に小原さんのマイクに手を添えるスマートな仕草も良平さんの細やかな気遣いとカッコよさを際立たせていました。

久保ユリカさんが演じるカリオストロ伯爵夫人ことバルサモは、この物語の最大のキーパーソンでした。タイトルにもなっているこの女性の美しさ、艶っぽさ、そして恐ろしさが、彼女の演技で見事に表現されていました。特に感情がむき出しになる場面では、離れた客席からでもその圧を感じさせる迫力があり、あれでは誰もが恋に狂わされるのも納得です。

小原好美さんは、可憐でありながら芯の強いクラリスを見事に演じていました。コロナで出演できなかったリベンジ朗読劇ということで、緊張されていたようですが、ラウールを包み込むような温かさと包容力を感じさせるお声と雰囲気が素晴らしかったです。白いドレスもとてもお似合いでした。

金光宣明さんが演じたクラリスの父親は、娘を愛するあまり、ルパンに冷たく接する役柄でしたが、金光さんのお芝居のおかげで、どこか憎みきれないキャラクターになっていました。

安元洋貴さんは怪人ボーマニャンを演じ、彼の低い声が原作以上の強敵感を生み出していました。その声の圧力が、シーンの緊迫感を一層際立たせ、緊張感を客席にも伝ってきました。

アンサンブルキャストの皆さんも、多様な役どころを巧みに演じ分け、朗読劇には欠かせない存在でした。レオナールの冷淡さが本当に怖かったです。

そして、演出・脚本の野坂実さんと穴吹一朗さんには脱帽です。400ページ以上の原作を2時間超の脚本に再構築し、観客に物語をしっかりと伝えるという偉業を成し遂げています。おかげで、楽しい観劇のひと時を過ごすことができました。

最後に、この公演に関わってくださった全てのスタッフの皆様、素晴らしい時間をありがとうございました。舞台スタッフや受付、グッズ販売の方々、皆さんのおかげで、観劇体験がより豊かで楽しいものになりました。

原作との違い

私が気づいた原作の訳文との違いを記していきます。 公演→原作
①バルサモを船から助け出したシーン
小屋でルパンは手に口付けをした
→小屋でルパンは唇に口付けをした
世にも美しい美人が目の前にいたら気持ちは分からんでもないが、クラリスいるだろうが〜となりました。拠点の船で別れ話(?)をしているとかに、小屋で奪ったものを返す的なやり取りがあった時にキスで返していたので、そこは劇の方はクラリスに配慮したのかな?

②クラリスやルブランの助け→助けはない

塔から脱出去る際に、縄をきる手伝いだけクラリスはしてくれるが、塔から出た後は自らルパンとは距離を離す。ほとんどのことをルパンが1人で成し遂げている。原作の方がよ。超人感が強い。
相棒やヒロインと仲間いい掛け合いをしながら冒険するルパンも面白かった。
原作ではクラリスとは、手紙が来た後、塔までずっと会わないので、よく信じて待ってたなと思った。

③ボーマニャンは責任をとって自害→ボーマニャンはお宝を掻っ攫われた絶望から自害

ここは、劇の方が納得感が強かった。
お宝を目の前で掻っ攫われた絶望もあるだらうが、色々汚いこともやってきてその責任をとったというのは解釈一致する。
ところでデティーグはクラリスの本当の父親ではないと原作では言われてる。明言はされていないが、最後にボーマニャンがルパンとクラリスの結婚をデティーグに誓わせるあたり、ボーマニャン父親説が想像される。となると、劇の塔のシーンで、ボーマニャンがクラリスを庇って刺されたシーンを深読みしてしまう。

まとめ(主に小原さん)

当方、クラリス役、小原好美さん推しであり
彼女は2022年にノサカラボさんの朗読劇「虎の牙」に主演予定だったのがコロナで無念の降板となってしまった経緯がありました。
公演最後の挨拶でもおっしゃってましたが、内容は違えどリベンジ公演でありそれを見届けられて、素晴らしい演技を生で見れてとても良かったです。
まさかの最前列真ん中にドレス姿でずっといてくれるとは思わず、可愛さ、美しさに目が奪われていました。

関さんにいじられていたギャップ、公演・演技にかける並々ならぬ思い、誰やりも長くお辞儀をする姿に小原さんの素晴らしいお人柄に気づいてくれる人が1人でも増えたら嬉しいです。

各声優さんの演技

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