見出し画像

私学訪問日記【跡見学園中学校・高等学校】

 ここ数年応募者数を伸ばし注目を集める「跡見学園中学校・高等学校」(以下、跡見学園)は、2025年に創立150周年を迎える伝統女子校です。超伝統校である一方で、学内では建学の精神を時代に合わせて解釈し、必要に応じて新たな取り組みを導入しています。跡見学園の特徴的な教育実践の一部をご紹介します。

 跡見学園の魅力は何といっても「伝統と革新」。時代に合わせた教育ビジョンは「自らの美意識のもとに新たな価値を生み出し、周りを幸せにする女性」。ここで言う「美意識」とは単純に見た目の美しさという意味ではなく、心や考え方の美しさのことを指し、人としてどうありたいかという「自分なりの価値観」のことを指しています。この「美意識」を中高6年間で養うために様々な取り組みを検討し、実践されています。

 その一つが、宿泊行事を軸とした「探究型創造学習」。中1、中2では「探究基礎」としてサイエンス探究教室へ出かけます。自然の中での活動を通じて、問いを追究し探究の基本となるスキルを身につけていきます。中3では社会課題に目を向け、自ら行き先を選択してSDGs探究旅行へ出かけ、課題解決に挑みます。その後、中学で学んだことを基に、高校では将来に向けて自分が解決したいと思えるテーマは何か、そのためにどのような探究を行っていくのかを考える「キャリア探究」へと繋がります。

 2024年から実施される高2の修学旅行は、自分で行き先を考えて決定する新しい旅行となります。その名も「セルフプロデュース旅行」。自らの旅を自分でプロデュースします。関心テーマ・課題をもとに自分で訪問先を決めるという取り組みです。これまで何十年と継続してきた旅行を一新された意図には、生徒の主体性を大切にし、多少失敗してもそれを糧に進んでほしいという想いがあります。プロセスを重視する跡見学園の新しいチャレンジのスタートです。

 長年続いてきた宿泊行事を教育ビジョンに照らし合わせて練り直し、大幅なリニューアルをした跡見学園。宿泊行事をその学年で行う単発のものと捉えるのではなく、中高一貫した「探究型創造学習」として取り組んでいるところが大きな特徴と言えます。またその結果、将来やりたいことをじっくりと追究し、進路選択に繋げていけるのが大きな魅力と言えます。
 このような新しい挑戦が近年の志願者増の背景にあるのは間違いなさそうです。今後も跡見学園の教育活動に注目していきたいと思います。

(コアネット教育総合研究所 放課後ラボ事業部 幸田 都志子)

跡見学園中学校高等学校 (atomi.ac.jp)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?