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就労するのが困難になっていないか?①:マッチングの問題

私が就職したのは1986年です。37年前ということになります。この時と比べて、働き方は多様になりました。

当時は、働く、ということは正規雇用で働く、ということとイコールだったと思います。派遣という働き方もすでにありましたが、多くはその業務のプロフェッショナルで、私の会社にも何人かいましたが、全員とっても出来る人、という印象だったし、周りにもそう思われていました。今もそういう人はもちろんいますが、全員ではないですよね。

そもそも、派遣で働く職種がかなり限定されていました。

学校を卒業したら、社員になって働く以外の選択肢はほとんどありませんでした。
フリーターという言葉ができたのはその翌年、1987年、リクルートのアルバイト情報誌、FromAからです。
やっぱりリクルートって市場を創ってますね。フリーターっていう言葉がなかったら、フリーターの数はそんなに増えなかったと思います。

それまで、アルバイトと言えば、学生が主役で、副業の人が少し、主婦の仕事は、(今もそうだけど)パートと呼んでいました。
法律的には、今も昔も無期雇用(正規雇用)と、有期雇用(それ以外)があるだけなんですが。

今でも忘れられないのは、1990年代の後半でも、「非正規社員の割合が25%を超えると、社員の就労環境(例えばモチベーションや規律など)に、深刻な影響がある」とセミナーで聞いたことです。

ワトソンワイアットというアメリカのコンサルタント会社のセミナーでした。今、非正規社員の割合が25%を超えている会社なんてありふれていて、1ミリも珍しくないですよね。人事という仕事をしている身としては、この話にかなりインパクトがありました。

仕事の見つけ方にしても、求人広告は当たり前ですが全て紙媒体です。学生はリクルート・毎日コミュニケーションズ(マイナビ)・日経就職ガイド(キャリタス)・文化放送ブレーンなどの発行する電話帳みたいな就職ガイド本、学生以外は新聞広告や、折込チラシですね。

人材紹介とか、スカウトっていうのもありましたが一般的ではなかったですね。

私が採用をしていて、新卒の紙媒体を一切やめて、すべてナビに切り替えたのは2000年(2001卒)からでした。その時でさえ、「大丈夫か?」と言われたのをおぼえています。中途採用はまだ紙媒体を結構使ってました。少なくとも10年前までは、正社員の採用にも紙媒体を使ってましたから。

今でも紙媒体が主役なのはアルバイトの採用くらいかな?いや、もう少数派になっているのかな。
こんな風に働き方も仕事の見つけ方も多様になっているのに、仕事を見つけるのは、今の方が難しくなっているような気がします。

今、企業の求人意欲はとても高いし、仕事をしたい人も実はたくさんいます。
でも、今の言葉で言うマッチングは、ごく少数の優秀な人を除き、難しくなっている気がします。ここでも二極化か。

選択肢が増えることがすなわち選択の容易さにつながるわけではないんですね。
理由は山ほど思いつきますが、解決策はそれほど思いつきません。

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