【ショートショート】プープーププ...プープーププ...

プープーププ…プープーププ…

それは、突然、鳴り響いた。

最初は、とても小さい音で誰もが気づかなかったが、あまりにも長い時間、鳴り響いているものだから、これは気のせいではないのだと分かったのだ。

まるで、聴覚検査の時のような甲高く一定の音域の音が途切れ途切れ、一定のリズムを刻みながら繰り返し流れてくる。

最初は、どこから聞こえてくるのか丸っきり分からなかったが、世界中が協力して徹底的に調査解析を行った結果、それが空から聞こえてくるのだと分かった。

プープーププ…プープーププ…

望遠鏡で音の流れてくる方向を眺めてみるとそこには一つの星があった。どうやら、そこから発せられているようだ。

それは、我々にとって世紀の大発見とも言える大事件であった。何せ、この星以外にも文明を持った生命体が存在しているということなのだから。彼らは我々にメッセージを発信しているのではないか。例えば、こんにちは、とか。SOSとか。あっちの言語か暗号みないなもので情報を発信しているに違いないのだ。

我々は、歓喜し、自分達もあの星に対してリアクションを取ろうという話になった。しかし、どうにもその技術がまだ無かった。

そうしている間にも、我々の星には常にあの音が鳴り響いた。

プープーププ…プープーププ…プープーププ…プープーププ…

小さい音だが、甲高く気が散るし、耳障りで次第に不愉快に思えてくる。それが数日ならまだ耐えられたが、我々は遠くの星の生物たちへのリアクションを返す術もなく、あるものは発狂し、あるものは病気になった。絶滅した動物もいる。朝も昼も夜も寝ている最中も耳の奥で頭の中で鳴り響く甲高い音が、我々の心と体を蝕み続けた。数年間、気が狂いそうになりながらも血反吐を吐いて技術開発に挑んだ結果。

遂にそれは、完成した。

何億光年と遠くはなれた星であろうと確実に届き、そのまま星もろとも破壊するほどの大爆発を引き起こすロケット核爆弾。

これで不快な音を根源から断つことができる。

我々は喜びの涙で目を潤ませ、ロケットのスイッチを押した。

プープーププ…プープーププ…

プープーププ…プープーププ…

プープーププ…プープーププ…

我々、人類は夢を見ている。
この広い宇宙の果てに我々と同じ高度な文明を持った生命体がいて、粘り強く辛抱強くメッセージを発信し続ければ必ず向こうから何らかのリアクションを返してくれるはずだ。

応答せよ、応答せよ


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