一軍女子は元不良に恋をした。#1
何度、同じ夢を見るのだろう
遠くて儚い、あの頃の夢を
全然いい夢では無いはずなのに
だけど何度も見てしまう
目の前に居る1人の少女
キミは何度も何度も同じ言葉を放つ
”ごめんね、ごめんね”っと
きっとそれは忘れてはならない記憶なはずなのに
何故か思い出せない、そんな4文字
???
??)ん……はぁ、またあの夢か
少し寒さが肌を横切る4月の朝
日差しは少しずつ部屋を照らす
名は桐生○○、高校3年生
4年前巷で話題となった”魔王”と呼ばれる喧嘩無敗の不良であった
しかし彼は飽きてしまったのだ、喧嘩も警察も付き合いも全てに飽きた彼は
”普通に生きたい”そう願い何も噂のない普通の高校に転校することになった
桐生はベッドから起き上がり洗面所へと向かった
○○)ちっ、まだ色落ちしてねぇじゃん……はぁめんどい
ぶつぶつと文句を言いながらも傍らに置いてあった偽装セットを着用に桐生は仏壇の前に座った
○○)んじゃあ親父、行ってくる
目の前にある亡き父の写真
彼の父親は警察官だった。5年前銀行強盗があった際に泣き止まない子供を庇いこの世を去った
○○の父親は勇敢な男で彼は○○に色んなことを教授した
登校中
○○)(とりあえず今日は何も目立たずに影のポジションで過ごす………よし。)
??)ちょっと離して‼️
○○)ん?なんだ……
オレは恐る恐る声のする方に向かった
男性)なぁ、ちょっと良いからさ?ね?
??)だから、急いでるんですってば‼️
○○)(うわ〜ナンパじゃん………)
1:無言で突っ込んで叩きのめす
2:演技をする
3:無視して学校に向かう
○○)(演技が1番だよなぁ〜はぁ、めんど……)
??)あっ!ごめ〜ん‼️
○○)(ん?あの女……男振りほどいてこっちに来やがった)
オレの横に立つ少し背の低そうな女の子
男性)ちっ、男連れかよ
男性は去った
??)ごめんね〜変に付き合わせちゃって
○○)いえ、別に………
??)私、山下美月
○○)桐生○○っていいます(美女、それも上々の美女、昔なら口説いてたな)
美月)同じ制服………もしかして1年生?あぁでも、ここ通るなら知ってるか
○○)転校生です
美月)あっ、転校生なんだ‼️(見た目の割には結構筋肉ある……何かやってたのかな部活)
??)ちょっとやま?ここで何してるの?
美月)あっ、梅だ‼️おーい!!
美月)この子は梅澤美波、私の大親友なの!
美波)よろしくね
○○)ども
美月)梅、この人は私を助けてくれた転校生の桐生君
美波)桐生君ごめんね、やまに何がやましい事でもされた?
○○)お気遣いありがとうございます、別になにもされて無いですよ
美波)ならいいんだけど、ってか早く行かないと遅刻するけど?
美月)ほんとだ‼️やっばーい‼️
その時、助けた女はオレの手を握って走り出した
美月)ほら、桐生君も遅刻するから行くよ‼️
○○)は、はい‼️(普通ってすげぇ……チョー楽しい)
❈普通ではありません
美月)やっばい、うめ待ってぇ〜‼️
美波)遅いやま‼️だから早く登校してって言ってるじゃん‼️
○○)(大変そうだな……まぁ、しゃーなしか)梅澤さんは先に行ってください
美波)えっ?う、うん頼んだ‼️
美月)はぁ、はぁ……桐生……君?
○○)間に合わせるようにするんで振り落とされないようにしてください
美月)え?意味が………
オレは彼女が言うまでもなく軽々と持ち上げ久しぶりに全力を出した
美月)えっ、ちょっと!?(は、初対面の人にお姫様抱っこされてる‼️)
○○)怖いなら目を瞑っといて下さいね
美月)う、うん‼️(女性への気遣いもいいし……何者なんだろ?)
校門前
??)遅いなアイツら……
美波)セーフ‼️
??)何がセーフだ、もっと早く登校しなさいと笑
美波)許してよヒムチャ〜ン
乃木坂高校教頭、日村勇紀
日村)そう言えば山下はどうした?
美波)やまはもうちょいしたら……ってキタキタ
○○)よいしょっと
オレはフェンスを揚々と登った
○○)着きましたよ山下さん
美月)ん……あれ、ほんとだ……
日村)凄い登場の仕方だね笑
美波)お姫様抱っこされてるじゃんやま笑
美月)こ、これは………と、とりあえず降ろして桐生君
○○)あっ、失礼しました(なんか顔赤いな、興味ねぇけど)
日村)君が転校生の桐生君かな?
○○)はい、お世話になります
日村)2人は早く教室に行きな、桐生君はこのまま校長室に
校長室
日村)設楽さ〜ん、転校生来たよ〜
??)入っていいよ〜
日村)だってさ、はいお先どうぞ
○○)あ、はい(校長か……まともな奴だといいんだが)
オレは恐る恐る重い扉を開けた
??)ようこそ乃木坂学園へ
設楽)校長の設楽だ、よろしく
○○)桐生です。
設楽)ふ〜ん、元不良とは思えない容姿だね
○○)……知ってるんですね
設楽)まぁね、生徒のことは理解しておかないと
○○)それで、一応聴きますけど俺が不良だったとしてあなたがたは受け入れてくれるんですよね?
設楽)当たり前だ
??)あの、校長?そろそろ授業が
設楽)おっと、そうだった。桐生君、この人が君の担任だ
麻衣)白石麻衣です、よろしくね桐生君
○○)よろしくお願いします(女神みてぇな美女)
設楽)美人だろ白石は
○○)え、えぇまぁ………(俺が元不良だから考えてることバレてんなこれ)
設楽)これでまだ独身……いい加減いい婿見つけろよ?
麻衣)ちょっとシ━━━ッd((ˊ皿ˋ ;)ですよ!?
麻衣)最終的に無理だったら私の教え子と結婚しますよ‼️
日村)ダメじゃないそれは?
設楽)だったら桐生君もだね
○○)はい?
麻衣)それは……そうですね‼️
○○)あの、授業あるんじゃ?
麻衣)そうだった‼️行くわよ‼️
そう言ってオレは担任の白石さんと共に教室に向かった
美月side
私は急いで教室に向かい扉を開けた
美月)ふぅ〜危ない危ない
美波)ギリギリセーフ
??)美月にみなみん、また遅刻だよ?
美月)もぉ〜史緒里ったらまたお堅い‼️
この子は友達の久保史緒里、クラスの委員長でみんなから「鬼の史緒里様」って呼ばれてるみたい
史緒里)だったらもっと早く来ること、いい?
美波)まぁまぁ、今日は訳ありだから許してあげて
史緒里)訳あり?
美月)そうなの‼️実はね………
私は史緒里に全ての経緯を話した
史緒里)ふ〜ん、なら今回は許す
美月)ありがと心の友よ‼️(美波ナイス👍)
??)おはよぉ〜(*pω-)。O゜
??)おはよ………史緒里さんに2人とも💦
史緒里)もぉ〜祐希はいい加減龍英君に頼らずに来なさい‼️
もう1人の友、与田祐希は遅刻魔でもありよく食べてよく寝る子………そのせいか上半身は急成長していて羨ましい
祐希)だぁってたっくんの背中ないと落ち着かないも〜ん
??)嬉しいこと言ってくれるけどそろそろ降りて……マジで疲れた
祐希をおぶっている人は西島龍英君、祐希の幼馴染兼彼氏
龍英)はぁ、疲れた………朝っぱらから運動はキチィって
美波)お疲れ龍英、はいスポドリ
龍英)美波サンキュー‼️(/◎\)ゴクゴクッ…(*>∀<*)プハー
龍英君と美波はバレー部に入部していて次期エースらしくみんなからモテモテらしい
龍英)そう言えばなんか転校生来るらしいな
美月)へぇ〜珍しいねこんな時期に
美波)それもそうだけど、多分転校生って桐生君よね
史緒里)桐生君?あっ、美月をお姫様抱っこしたっていう王子様ね
美月)だから王子様じゃないってば〜‼️
祐希)桐生君って言うんや、イケメンやったと?
美波)メガネかけてロングだけど、多分めっちゃイケメンだね
龍英)ふーん、そりゃあ楽しみだな
その時教室の扉が開き担任と転校生と思わしき人が来た
○○side
オレは担任である白石先生と共に教室の前まで着いた
麻衣)ふふっ、緊張してる?
○○)緊張ですか?全くないですね。
麻衣)さっすが魔王様
○○)昔の呼び名は辞めて下さい、あれ結構恥ずいんですから
麻衣)へぇ〜、それでひとつ質問いいかしら
○○)なんでしょうか?
麻衣)貴方が”記憶障害を患っている”っていうのは本当かしら
○○)………流石に知ってますよね。
そうオレは記憶障害を患っている。
別に全て忘れている訳では無い、自分の略歴だとか家族構成は覚えているし何者かさえも分かっている
しかし、とある人物だけの記憶だけがオレにはない。それがいわゆる記憶障害ってやつだ。
覚えているのは”ごめんね”の4文字だけだった。
麻衣)この学校で思い出せるといいわね
○○)そうですね
麻衣)それじゃあ行くわよ
そう言って先生は扉を開けた
麻衣)はいみんな〜席について‼️挨拶の前に転校生紹介するからね
男子1)まいやーん、それって女の子?
麻衣)こーら、麻衣先生って呼んでって言ってるでしょ?
もぉ……それより、その質問はNOよ
男子1)ちぇ〜男かよ〜
麻衣)はいそれじゃあ入って〜
○○)どうも。
美月)(あっ、桐生君だ)
美波)(やっぱり笑)
男子全員)(陰キャかよ………)
○○)桐生○○です、よろしくお願いします
龍英)はいはーいまいやん!
麻衣)だから……まぁいいや、それで龍英君質問かしら?
龍英)そうそう、いい?
○○)大丈夫ですよ
龍英と名乗る男はオレに向かって質問をぶつけた
龍英)桐生君、彼女いんの〜?
○○)彼女…………
オレはすぐにNOと答えればいいのに何故か言葉が出なかった。
○○)ノーコメントで
龍英)うわ〜めっちゃ気になるじゃーん
麻衣)はい、とりあえず桐生君は山下さんの隣ね
○○)分かりました
オレはそのまま山下さんの隣に座った
美月)よろしくね桐生君
○○)よろしくお願いします(知ってる奴が隣なら別にいいか)
昼休み
美波)さっきぶりだね桐生君
○○)ですね
史緒里)こんにちは、委員長の久保史緒里よろしくね
龍英)オレは西島龍英、んで今口いっぱいに肉を頬張ってんのがオレの幼馴染兼彼女の与田祐希
祐希)ふぉほくね(よろしくね‼️)
○○)どうも
龍英)身長なんぼよ
○○)173とか?
史緒里)みなみんと同じくらいか
龍英)それでロングでメガネ、珍しいね
美波)まぁでも、いいんじゃない?そういう人世の中たっくさん居るんだし
○○)(変な奴ら………まぁでも、これが普通ってやつなら別にいいか)
祐希)桐生君、めっちゃ筋肉ありそうやけどなんかやってたと?
○○)あ〜(やっべ、喧嘩しまくっていつの間にかついてたとか言えねぇやつじゃんこれ……)
○○)ま、まぁ……生まれつきこうだと思いますよ?
龍英)生まれつきか〜いいなぁそれ、オレも言ってみてぇよ
祐希)ウチは今のたっくんが1番好いとーよ?
龍英)お、おう///
美月)出たよアツアツカップル
○○)(アツアツカップル………)
オレはこの時何故かそう言ったのか分からなかった
心の奥底に眠っていたオレの記憶
”○○と付き合えて世界一幸せだよ?”
○○)いいと思うそういうの
美月)桐生君?
○○)あっ、いやその………そういう新鮮さが長続きしてるのがいいなぁ〜って、あはは………(なんだったんだ今の記憶……)
美波)それより、早くお昼食べよ?お腹空いた
美月)だね‼️ほら、桐生君も
○○)あ、はい‼️
続く
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