真っ白なキャンバスから始めよう

これまで自分の心を疎かにしてきたせいで
私の中の自由気ままな絵の具たちが、全て均等にルールを破ることなくキャンバスに塗られるようになった

初めは気づかないふりをしてこれが正しいんだと話す教科書をノートに写して、ただただページをめくる毎日

でもなぜか微かな違和感が見え隠れし始めた

なぜ教科書の話が全て正しいと思うのか
なぜこんなにも心の中がカラカラでもうすぐそこに終わりがあるように思えるのか
教科書を読まないものはすべて正しくないのか

そのとき、じゅわっと私の奥底に溜まっていた水滴が筆を伝ってキャンバスに滲んだ

滲んだ水滴はいつしか水たまりになって淡く色鮮やかに少しずつ輪を描いて広がっていく

全ての色がまざり合い そして色が生まれた

どこか懐かしく、温かい、新しい色

これこそが私の色だ

教科書には載ってない

私にしか生み出すことのできない色

そして私は決意した

真っ白なキャンバスから始めよう

何色にも染まっていない、
これからどんな色でどんなものが描かれていくのかわからない、誰にも想像できない未来を描いていくキャンバスを

私は手に入れた。

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