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SM小説と乗っ取り

画像はにっかつビデオ株式会社のVHSビデオ“生贄姉妹”のジャケットと日本出版社アップルノベルズ“凌辱学習塾3媚く”のカバーです。

SM小説の本質は責め手が主人公を性的に支配した揚句に主人公が被虐の快感を知悉してしまうという流れを描く事だと思うのですが、縄とか鞭とか蠟燭とか尻責めとかだけで満足する読者はどちらかといえば少数でコアな読者と言えるのではないでしょうか。殆どの場合責め手は絶倫でしかもバイブレーターとかディルドとか媚薬とかで主人公を追い上げてから自慢のモノでとどめを刺すという描写が多いのではないでしょうか。私が読んできたものに限っては、という事かもしれませんが。そして性的な服従に加えて、精神的な隷従を余儀なくさせるために欠かせない手段が主人公の社会的な地位の転落や剝奪です。それゆえSM小説には乗っ取りやそれに類するストーリーが好んで描かれます。団鬼六さんの作品に、先代の跡を継いだ極道の女組長が敵対する組の圧力に屈したり卑劣な罠にはまって慰み者となり組も乗っ取られてしまうという展開がよく見られました。noteの“私が抜いたSM小説-その2-”で紹介した“夕顔夫人”では責め手が前衛華道でヒロインが伝統的な流派という事で、乗っ取りではなく壊滅という形になりましたが、ヒロインの邸宅の登記簿は責め手に奪われてしまい、この点は乗っ取りですね。千草忠夫さんも乗っ取りを多用しており、“闇への供物”では女学園、“悪魔のバイブル”では人材派遣会社、“姦のカルテット”では病院、“凌辱学習塾”では学習塾が乗っ取られます。もっとも“闇への供物”は女子高の生徒、母親、女教師、女学園長らが地域のフィクサーとその取り巻きに凌辱されていく過程の学園周辺を描くもので、責め手には系列大学の理事長も加わっているので、乗っ取りではなくて女子高のハーレム化と言った方が適切です。このように元の身分に就かせたままヒロインを嬲って表と裏の顔を対比させる事でキャラクターの新鮮さを保つ事も多く、むしろこちらのパターンの方が完全な乗っ取りよりも多いと思います。また“姦のカルテット”は病院長など複数の男性にとっての寝取られものという側面もあります。

ところで団鬼六さんの作品は日活ロマンポルノでいくつも映画化されていますが、その後も"原作:団鬼六"と銘打ったビデオやそうでなくても団さんらの影響を受けていると思われるビデオはやはり私の眼には留まります。私の好きなATTACKERSでは“極道の女”シリーズは団さんの“縄地獄”(原作名:やくざ天使)などと同一傾向ですし、“美人女将”、“花電車の女”などのシリーズは団さんの“生贄姉妹”(原作名同じ)や“肉体の賭け”(原作名同じ)を連想させます。これらのATTACKERS作品中には残念ながら廃版になったのか今ではホームページで見られないものもあります。(つくづく歳を取ったものです。)これらの小説や映画、ビデオではやくざの組や、温泉旅館、料亭などが乗っ取られてヒロインの負けっぷりに追い打ちをかけ、読者も視聴者もSの人もMの人もその官能世界に浸るわけですね。

話は横に逸れますが、10年ほど前の事でしょうか、ふと「会社を乗っ取られ妻を寝取られ」とググってみたら見事にATTACKERSの“黒い欲望に全てを奪われて”というビデオがヒットしました。「さすがグーグル、さすがアタッカーズ」と思って早速購入したのですが、社長の妻や娘が凌辱されるのは陰謀によって会社を奪われた社長が自殺した(あるいは自殺に偽装した他殺だったのかよくわかりませんでした)後の事であり、寝取られ感は味わえませんでした。「あんたの包括的な検索能力は大したもんだが、寝取られマゾの性癖は解っちゃいないな」と人ではないグーグルに毒づいたものです。

さて私のアダルトコンテンツ鑑賞の主戦場は20年ほど前に紙やDVDからネットに変わってきました。初めの頃、愛読していた或るネット小説家のサイトに入るのに或る時からパスワードが必要となって、その申請の際に作品に何かコメントしてくれみたいな要望が有ったのがきっかけで1,2回やり取りしたのですが、その方が「ネット小説家って、その作風によらず大多数の人がマゾだと思います。」と書かれていました。もちろん私がそのジャンルを探すからでもありますが、ネット小説って本当にマゾ系の作品が多いですよね。その中で寝取られマゾものも数多く見かけます。寝取りは恋人、家族(夫婦、親子、兄弟姉妹)など小さなコミュニティの乗っ取りのようだとも思ったのですが、よく考えたら、母親寝取られといっても寝取り男が寝取られ男に代わってその母親の息子になるわけではないし、恋人や夫婦の場合でも寝取る側は性欲を満たしつつ相手やそのパートナーを精神的に責めさいなむ事を楽しんでいるだけで、相手と恋人になったり結婚するまで描かれる事は多くありません。ですから乗っ取りではないですが、最初の段落に書いた「元の身分に就かせたままヒロインを嬲って表と裏の顔を対比させる」と共通する所だと思います。尚、寝取られ作品には女性視点で彼氏や夫が悪女に寝取られる様を描いた作品も存在する事を申し添えます。

ネット小説は簡単にコピペできる状態で公開される場合が多く、そのおかげで私は結構多数のコレクションを築くことができましたが、それらをそのまま転記や引用する事は好ましくないと思うので、学校乗っ取り系作品2点の概要のみ紹介します。
ひとつは出羽健さんの”乗っ取られ女学院“です。女子高の女理事長、女教師、生徒会長、その母親でPTA副会長を務める市会議員などが凌辱され、学院は乗っ取られ、最後は共学になって不良男子がクラスの女子を授業中に保健室に連れ出し、悪徳教師が女子を、不良男子が女教師を保健室で犯す場面で終わります。昔は無料で公開されていましたが、今はKindle版を購入できます。もうひとつは白川京二さんの”ニュータウンの奴隷家族“です。こちらはスナックのママが娘が通う市立中学の父兄を皮切りにPTA役員を含むいくつもの家族全員を奴隷化し、女校長の家族や生徒会長である女子の家族も奴隷化してしまいますが、公立校ですし、乗っ取りではなくハーレムのパターンですね。すべての住民は貴族か奴隷かに分類されるというコンセプトのため、責め手にはママのスナックの常連客以外に一部のPTA役員家族や男女教師も加わっており、ママの娘も校内で女校長を嬲ったりします。一方男性の奴隷も中学生から大人まで複数登場し、惨めな射精を強いられたり近親相姦を強制されたりする場面も有り、読みごたえ(抜きごたえ?)がありました。

学園物の実写版というのはだめですね。出演者は18歳以上でないとだめですから、何とか女子生徒は成人女優でごまかせても学生服を着て登場する年齢不詳の男性を見るだけで萎えてしまいます。ましてや男子高校生が嬲られるビデオとかタイトルを見ただけで終了です。何事も空想の世界を楽しむ間が花ですね。以上変態自慰さんの好々爺でした。

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