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話すのが楽しいおばちゃんがいる件

いや、わたしも十分に「おばちゃん」なんですけどね。

その人は、もう、今にもポケットから飴ちゃん(黒飴かVC3000のど飴)を出してくれそうな雰囲気で、地元のブティックで売っているような不思議な柄のヒラヒラした衣服を身に纏い、緩くソバージュを掛けた髪をバレッタで留め、会社に到着してわたしが階段で上がろうとしたときにエレベーターが来ると「来ましたよー」とわざわざ声を掛けてくれるような、おばちゃん of おばちゃんなのです。

基本的にわたしは、おばちゃんが苦手です。
おばちゃんは割合、距離が近過ぎる傾向にあるからです。
(いや、わたしも十分に「おば…以下略)

ご結婚されてるの?
お子さんはまだ?
あらー早く作っちゃった方がいいわよ。
わたしなんか19の時にね…

近い。近過ぎる。
あと10mは距離が欲しい(心理的に)。

あと10m離れて、間に知らない人が幾人も挟まれている状態で話しても問題ない会話をしてほしい。

でも。
そのおばちゃんはそういう、今にもこちらに顔を寄せて内緒話でもするような口調で話し掛けてくる雰囲気を身に纏っているのに、プライベートなことには一切触れて来ないのです。

実際「10m離れて、間に知らない人が幾人も挟まれている状態で話しても問題ない会話」しかされたことがない。

パーソナルエリアに踏み込まず、且つ誰も傷つけない会話というのはひどく難しいものです。

かく言うわたしも、それが出来ない為に新人さんとはほとんど雑談をせず業務連絡だけのむっさクールな関係に落ち着いていますので。
ずっと隣に座っているのに、びっくりするくらい余計な会話を削ぎ落したわたしたち。

どうしたらあんな感じの会話が自然と出来るのかな、と思って、件のおばちゃんと今までお話したことを思い浮かべてみたのですが、何の話をしたのか一切、覚えていません。

ここにきて、わたしの優れた忘却力が効いている…。

忘却力が高いと、嫌な目に遭っても大抵のことは忘れてしまえるし、一度読んだり観たりした作品を初めて触れるような新鮮な気持ちで楽しめるなどの利点があるのですが、こういう時に不便ですね。

何事もメリットとデメリットがあるものです。

彼女よりもずっと若くて洗練された都会の女風の方でも…
いや、もはや性別も関係ありません。

どんな見た目や背景を持った人でも、ずけずけとプライベートに踏み込んできて人の心を散々踏み荒らしてくる割に自覚が無い、よっぽど「おばちゃん」的な悪癖を持った人は、其処彼処にたくさんいます。

つくづく、人を年齢とか外見とかで判断するものじゃないな、と思います。

↓優れた忘却力についてのnoteはこちら

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