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腰痛経過観察(二週目)

五月十日 腰痛注射二日目(二週目)
人並みには痛む。今まで介護業務で酷使してきたのだから、余人より痛むのは当然と云えば当然なのかも知れない。だが室内を杖なしでは歩けない程ではない。私の腰痛には病名が付かなかったので、障碍者年金的な補償も期待できない。腰痛にも自立支援制度ってあるのかなと思い、調べたが対象は精神疾患だけだった。出費が嵩むが、動けないよりは良い。
うつ伏せの姿勢で読書。この姿勢が一番楽だが、長期的に見て本当に良いのかは不明。長時間この姿勢でいると、陰茎の先端が圧迫されるのか、小便が真っすぐに飛ばない。時には二股に分かれて便器から大きく逸脱し、ユニットバスのタイルが不自然に泡立つ尿で汚染され、行き場のない怒りと情けなさに精神が荒廃する。人間性が逸脱していると小便もそうなるのか。私は自分のチンコが嫌いだ。短小だから。身体が大きい分、余計に小さく見えて滑稽だ。その所為で銭湯にも温泉にも風俗にも行けない。いい歳して女性関係にもまるで自信が持てない。死ぬまでついて回るコンプレックス、いや呪いだ。床の小便をシャワーで流しながら、生まれて来なければ良かったと思う。これで精神的にこじらせて性犯罪でもやらかしたら、原因は「短小」って事になるのか? 短小でも自信を持てる方法を誰か教えてくれ。何故なのか分からないが、私が今まで読んだ小説には書かれていなかった。短小者は小説家にならないのか?

五月十一日 腰痛注射三日目(二週目)
最近、老いを感じる事が多々ある。睡眠障害を克服する為、精神薬とウイスキーを併呑して(絶対に真似しないで下さい)、短い陰茎をしごいて放精して強引に疲労感を増し、無理やり午前零時過ぎに眠っても、朝五時過ぎには目を覚ましてしまう。それから簡単な腰痛体操を行い、枕元に散っている抜け毛を紙テープで集めて捨てる(ガムテープよりも紙テープの方が安い)。手洗いへ行き嘔吐する。少し回復した後、ワイヤレスヘッドホンを装着して、ユーチューブでヒーリング系の音楽を聴きながらグーグルニュースを閲覧する。どこかの誰かが悪い事をしました。どこかで誰かが事件や事故で亡くなりました。子供の時分からテレビを観る習慣が余り無かった所為か(私は家庭環境が余り良くなかった)、現在もテレビを置いていないので、ドラマやお笑いなど芸能関係はほぼ分からない。女優も男優もアイドルも知らない。不祥事を起こした時だけニュースになるので分かる。

五月十二日 腰痛注射四日目(二週目)
二十代の頃は……嘘だ、三十代の前半まで、朝起きたら酒を呑む習慣があった。さすがに仕事の日はしないが。最近は朝酒の誘惑に打ち勝ち、朝の分の精神薬を服用する。これから仕事に就こうという時に、朝酒で生活リズムを破綻させるのは不味い。
電気代節約の為にカーテンを全開にして日光で読書する。時期が悪いのか、もともと日当たりが悪いのか、工夫を凝らすも仄暗い。小学生の時分から視力の悪い私は陰影を礼賛出来ない性格(肉体?)だ。しかし幸いな事に私の部屋には電灯がある。で、この電灯はリモコンで明るさを何段階か調節することが出来る。暗ければ暗いほど節約になるだろうと思い、はじめは私も何とか判読可能な明るさまで光明レベルを落として読書に励むのだが、結局、読み辛さに負けて「全灯」ボタンを押してしまう。無職の癖にムダに電気使ってんじゃねえよ、と精神的に敗北した気分になる。私は何をやっても敗者。人生において常に敗北してきた気がする。それでも未だ自死もせず生きてるのは、慣れてるからだろう。良いんだか悪いんだか。

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