オススメ/短文バトル3回目「一番古い記憶」

 短文バトル、回を重ねるごとに面白さが増しているような! どれも捨てがたくて迷うけれど、二つ選んだ。ひとつめは、

 ちょうど、記憶の改ざんがテーマになった短編集(辻村深月『噛みあわない会話と、ある過去について』)を読んだところで、内容がリンクしていて、こういうことあるなと思った。ラストの「そういうことにしておけば、良いのかもしれない。」に深く頷く。本当にそう、それぞれの思っていることが真実なのだから、すり合わせなくてもいいよね。

 もうひとつは、


 タイトルを見てまず、「グーって?」と思った。こういうとき、慌てて歯を隠そうとするんじゃなくて、「歯が抜けた!」って大騒ぎする子どももいるかも。わたしだったらやっぱり米光さんみたいに隠そうとするかなあ。幼稚園っておそらく生まれてはじめての「社会」ということもあって、ヤバいと自分が感じたことはすごく記憶に残る。わたしは入園式で、自分とちがう子の名前が呼ばれたのにまちがえて返事をしてしまったことを覚えている。

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