話の遺産「こどものグルメ」

小学生の夏休み、母親は仕事でいないと、兄と2人になる事が多かったんです。兄は普段は、何もしないでご飯になると起きてきて、寝てって感じでした。

ある日、兄が「アイスクリームが食べたい。」た言い出しました。当時、パソコンもネットもないし、クックパッドなんてありませんから、作り方なんてわかりませんでした。

しかし、兄は、要は牛乳を凍らせればアイスはできるとわからない理屈を言い出しました。家にあった牛乳を冷蔵庫から出し、砂糖を沢山入れ、卵を入れて混ぜてみて味見。

「甘さが足りない。」と言った兄は、台所をあさり、コーヒーに入れる粉ミルクをさらに混ぜ、味見をし

「甘さはOK」と言いながら、ボールの中に入れたそれを冷凍庫の中に入れました。

「時々混ぜるんだぞ!」と命令口調で言うと、部屋に行き寝てしまいました。

私指示通りに、ボールの中に入ったそれを混ぜます。しかし、一向にアイスクリームになりそうではなく、牛乳等を凍らせたものが次第にできてきます。

3時間後、兄が起きてきて、
「アイスできだろうな?」と脅す口調で行ってきました。「指示通りやったよ。」と言うと、兄は冷凍庫を開けて、ボールに入ったそれをみて私に

「ちゃんとやれって言っただろう」と怒鳴りました。私も「やれと言われたことをやったから知らない」と言いました。

兄も、「もしかしたら美味しいかもしれないな。」と言ってボールの中身を出そうとしますが、ただ牛乳等を凍らせたものは、スプーンですくってもすくえず、ただ、氷が削られるだけです。

兄も懸命に氷を削り続けて、少しできた牛乳の氷を食べました。そして、「母親に分からないように片付けておけ!」と言うと部屋に戻ってしまい、夕飯まで起きてくることはありませんでした。

僕は、その凍った牛乳をじっーと見て、熱湯をかけて、氷を溶かして処分しました。

それから30年経ち、アイスクリームを
手作りで作ろうと思って、クックパッドを見ながら作ったのですが…、生クリームが足りなかったようです。それと、卵はよく混ぜること、卵黄と卵白に分けること。など、疎かにしていた事が沢山ありました。

手作りでクックパッド作ったアイスクリームはとても美味しかったです。

あの時、クックパッドがあれば、兄弟で揉めることは無かったと思います。

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