Iくんへの仕返し 3

この記事はIくんへの仕返し|クリア #note https://note.com/clear_xykmr/n/n4125eeb30efaとIくんへの仕返し2|クリア #note https://note.com/clear_xykmr/n/nd47888de2651の続きです。
この2つをご覧になってから、ご観覧ください。


文化祭の代休明け。
私は綿密に立てた計画、何度もしたシュミレーション通りにごく普通に話しかけてくるIくんの対応をした。
目線や顔の向きまで調整された私の様子は明らかに何かが違うように見せたはず。

だが、そんな演技をする必要はすぐに無くなった。

これは確か2限目で教室を移動したとき。
親友ちゃんのクラスの前を通ったときに
「clearちゃん、clearちゃん」
と呼ばれ、何かと思ったら
「Fちゃんにclearちゃんが諸々知っていること言っちゃったから変に隠さなくていいよ」
とのこと。

私は一瞬のうちによく分からない感情が沸いた。
怒りでも悲しみでもない。
何度考えても分からない感情。

私はIくんの前で演技することによってこの感情を抑えていたのだと気がついた。


そこからIくんの目には私はどう写っていたのだろう。
私自身、思い出しても自分がどう考えてどのような態度をとったかは覚えていない。

怒って、笑って、悲しんで。

ぐちゃぐちゃだったことは分かる。


その日の放課後、Iくんから敬語で私に嘘をついた理由、情報を流そうとした理由、そして「ご理解頂けますようによろしくお願いいたします」。

ああ、「ごめん」って言葉は出てこないんだ。
結局、「協力してくれ」ってことじゃない。

そうは思いながらも私は誠心誠意送ってきたこのLINE(余談だが非常に読みにくくほとんど聞き返した)には評価することとした。

まず、情報を流すまではしないが話を合わせてあげること。
あと、あからさまに怒りはぶつけないこと。
そして、近づきすぎないこと。

実際のところ、よく分からない感情は今もある。
だが、それをぶつけたとて何になるのだと冷静に考えて思った。


結局、仕返しは出来なかった、いや、しなかった。

私は何か取引を持ちかけられている身では無い。
しかし、私は心の底では優しいことが仇となった。

悔しいが、これで今は正解だと思ってる。


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