第21話 兄弟
───────メッセージが、来た。
綸音は部屋の隅で縮こまりながらスマホを開く。
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『今日は行けない』
『マジか……』
『そっか〜!なら明日は学校でお勉強会しようね!!放課後が無理そうなら昼休みでもいいよ!!!♡』
『こっちは今信号待ち。もうすぐで着くよ〜』
『私も例の信号に来たよ』
『唯花と合流したよ。もうすぐで信号変わりそう!』
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綸音はメッセージを送るタイミングを伺っていた。
『自分も行けない。ごめん』
という文章をとりあえず打ったものの、いざ送ろうとすると楽しそうな4人が次の返信をする。
どうやら瑠愛子と舞美は合流して、唯花と花音譜も信号のところで合流したらしい。
綸音はずっと、流れる4人のメッセージを見ながらひとり息を殺して泣くしかなかった。
「あ、唯花!」
「おお〜やっほ〜」
「よかった!合流できて」
「うん。舞美と瑠愛子も合流できたみたいだし、あとは綸音だけど……」
と言って、唯花は考える素振りを見せる。
「綸音も、気軽に外出れる感じじゃないよね?」
という唯花の発言に
「たしかに…あの子に連絡してみる?」
と、花音譜も答える。
「うん。個人の方でメッセージ送ってみるよ」
「ありがとう」
そうは言ったものの、正直花音譜は不安だった。
「…綸音、やっぱ来れないみたい」
「そっか…それなら今日は4人でがんばろう」
「そうだね!」
そうして花音譜たちは2人と合流した。
「やっほ〜!」
と瑠愛子はかわいく手を振り、
「これで4人は揃ったね!!」
と舞美ははしゃいでいる。
「あ、それなんだけど綸音も来れないらしい」
「まじか……なんか2人とも大変そうだね〜」
「あっ!!明日英単語のテストがあるんだった!!!」
舞美は思い出したように手を叩いて叫ぶ。隣にいた瑠愛子は少しうるさそうに顔を歪めていたのは、花音譜だけが知っている。
「あ、忘れてた」
「やば〜い!!!」
瑠愛子と唯花も同じように焦る。
花音譜はテストの存在を覚えており、事前に咲南花と対策しているので特段慌てはしなかった。
「唯花は長年英会話してて、るあ姉は家にALTの先生がいるから英単語も簡単でしょ〜!?」
舞美は5教科の中で英語が最も苦手で、いつも赤点を取っている。
「ふふっ(笑)それなら早く自習室に行きましょう」
そうして花音譜を先頭に4人は図書館の自習室に向かった。