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ブラック企業に就職して新卒カードが一週間でパーになった話 その2

こんにちは。しばらく間が空いてしまいました。
前の記事の続きです。入社した翌週退職になったためほぼ後日談みたいな
感じかもしれない。

週明けも本当に職場に行くことがしんどくてしんどくてたまらなかった。
テンションを上げようと怒髪天やグループ魂を聴きながら通勤したりしていた。

お掃除テストになかなか合格できない人たちは呼び出された。
リーダーの上司に当たる人たち(怖いおじさんたち)から
「泣いてる場合か!」「君たちはね、プロになってもらわないと困るんだよ!」と言われるばかり。「すみません」「頑張ります」と泣く。

リーダーから「いつ頃できるようになりますか」と聞かれたから
「できるだけ早く、今週中にはできるようになります」と答えたら
僕はね、君は無理だと思うよ
僕はね、正直あなたのことなんかどうでもいいの。あなたがどうなろうが
どーでもいい
。患者さえ助かればそれでいいからね」とバッサリ。

そしてまた、その1にも書いた「もしあなたの家族が患者で、あなたが間違えた調合の薬や治療で死んだらどう思うか考えてみなよ?ね?嫌でしょ?家族が死ぬんだよ?嫌だと思うんだろ?ならちゃんとやりなさいよ」という発言もした。この「もし家族が死んだら~」発言はリーダーのみならず総務の人もよく口にしていた。

こういう、一連のやり取りは絵にかいたような「恐怖で支配して洗脳」だなと思う。

ちなみにリーダーは上司からはかなり気に入られているようだった。
なんせ、ちゃん付されていたから。「〇〇ちゃん(はぁと)」って。
なんかそういう所にも異様さが出るんだよな。

ずっとワイパーグルグルしてしんどくなりうずくまったら総務の人からでっかい声で「すいませーーーーーん!!鈴冬さんが倒れました―――!!」と
言われたこともあった。なんかわざとらしくていやだった。

そして火曜日。また呼び出された。

そこで「あなた向いてないからもう辞めてください」「やめてもらったほうがいい」と怖いおじさんたちから言われた。
その隣でリーダーはこくこく頷いていた。

こういう時は「はい、分かりました」とすぐ返事をするのではなく
「一旦持ち帰ってよろしいですか。その後返答します」などと言う方が良いらしい?が右も左も分からぬ私は「はい分かりました」と言ってしまった。

総務の人が「鈴冬さんやめるんだってさー」と新入社員の皆に言っていた。
言い方が私が自ら辞めたかのような言い方。

正直言うと辞めることになった時はホッとした。
だけど、同時に絶望した。

あの時のすっかり桜が散ってしまった風景の中泣きながら駅に向かった
ことを未だに覚えている。

しかし家族には「辞めさせられました」そんなことは言えない。仕方がないから恥ずかしながら水曜日から金曜までは「仕事に行くフリ」をつづけた。
ドラマか漫画でいつしか見た、リストラされたことを家族に言えなくて公園で時間をつぶすサラリーマンになってしまったのだ。仕事に行くフリをしていたときは、新卒専用ハローワークのカウンセラーに連絡を取り現状を聞いていただいたり、もう次を考えようと求人紹介をしていただいたり動き出した。合間にヒトカラをしたがなんだか楽しくなかったな。


金曜日の夜に実は・・と家族に打ち明けたが激怒された。
「根性なしが!!!」と言われた。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
そういうしかなかった。

だけど「お前が女だからすぐ辞めても許されるかもしれんが、お前がもし男だったら嫁と子ども食わせないかんのやぞ、簡単に辞めれんとぞ」みたいな言い方をされたのは非常に憤りを感じた。

翌週、洗濯をした制服を返却しに行った。
会社のビルを出たところでリーダーの上司にあたる人がいた。
私は会釈した。本心は無視したかった。「お前のことは許さんぞ!」と言いたかった。その後、労基署に行き相談したが「気持ちを切り替えてわすれて頑張れ」とか「裁判とかすると心理的な負担になるよ」みたいなことを言われなにも得られなかった。諦めた。

GWに入ってから、同じ新入社員の方に連絡を取った。
「皆さんあれからどうですか?」
「〇〇さんは掃除のテストに合格したようですが、私は合格が難しく
4月末に退職をすすめられて辞めました」
もう一人、一緒に入社した人が4月中に退職させられたと知る。

それから数か月後たまたま会社の求人が出ていることに気がついた。
するともう1人、2人が退職しているということが分かった。
約半年以内に新入社員が半分辞めているのか・・・・・
家族からはそれを「でも、半分は残っているんだろ?あなたはその半分に
入らなかった」みたいに言われた。その言い方って・・

その後倒産だが破産してその会社は無くなったことは確認した。
残った社員でまた新しく社名を変えて会社を作り直したようであるが
詳細は不明である。

今回の件で思ったこと、感じていること

「ベンチャーはアドベンチャーだ」
これは、友人の受け売りだけれども。ダジャレのようだが間違っていないなと感じた。ベンチャーはやめておけ!入るなよ!とは言わない。
ベンチャーは合う人にはとことん合うとは思うから。
「バリバリ挑戦するのが快感だ」「いずれは起業してみたい」「自分の力を試したい」「困難なんかなんのその、それさえもスパイスだ」みたいな冒険家のようなテンションの人にはきっと合うのだろう。私は某経済番組の影響を受けすぎてしまった。自分の適性を考えず「やりがい」「かっこいい、大きなことに挑戦する」と夢だけ見てしまったのかもしれない。

「うまく立ち回ればよかった」
引っ越しは必須だけど家賃補助はありませんとか新入社員だけど非正規とか今考えたらあれ?という点が多い。面接では分からなかったがあとから出てきた色んな事実に疑問を感じながらもそのまま入社してしまった。内定が冬頃だったから、それをとりあえずキープして3月末までは就職活動を続けるなどやりようはあったのではないか。

「根性なしと言われようが辞めてよかったとは思う」
新卒カードが一週間でダメになったことは痛い。めちゃめちゃ痛い。
だけどあの環境で続けていてもいいことはなかったのではないか。
洗脳と書いたが、そのような思考が常識となっている環境になじんでいたら
悪い意味で人が変わっていたかもしれない。私が辞めて2、3年くらいで
一度倒産をしているし、我慢して耐えてもそこで離れざるを得なかったかもしれない。倒産するくらい危険な状態になれば給与の支払いだってきちんと
されるか分からないし。

「忘れなさいといわれても忘れられない」
色々と選択から失敗した自分を責める気持ちがある。いまだに「あれさえなければ」と悔しいのだ。初めての仕事でこんな大きな失敗をしてしまったからやはり未だに自信がない。働くこと自体に恐怖がある。どうして、どうして自分はこんなにダメな人間なんだろうという気持ちはずっとある。悔しい。悔しい。一緒に入社した方々も辛い目にあっている。もう連絡とってないからどうしているかは分からないが・・・元気でいてほしいとは思う、やっぱり。

未だに私はこの新卒時に経験した嫌な出来事から気持ちが完璧には脱出できていない気がする。まだずっと迷路にいるような感じだ。

いつか「あんなこともあったからこそ今がある」と言える日なんて来るのかな。今はそんな予感は正直全くしない。

だけど、生きるしかない。まだまだ模索する日々は続く。


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