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『正体』 染井 為人 著

STORY
埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚が脱走した!東京オリンピック施設の工場、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会、人手不足に喘ぐグループホーム…..。様々な場所で潜伏生活を送りながら捜査の手を逃れ、必死に逃亡を続ける彼の目的は?その逃避行の日々とは?

audibleより

脱走した死刑囚の逃亡先での生活。出会いと別れ。
逃げるため転々とした生活を繰り返しているので短編のように語られていく。
それを全て読んでいる読者としては脱獄犯へ感情移入していく。

彼の本当の姿はどれなのか?

この小説を読んで思うことは、正体って何なの?ってこと。
もしかしたら、身近にいる人も自分が思っているような人じゃないかもしれない。
自分も相手側からしたら相手の知っているような人じゃないかもしれない。
もしかしたら、自分が思っているような自分が自分じゃないかもしれない。


ちょっと飛躍しすぎたが、人は噂や偏見を込みで人を見ている。
しかし、それな正しくない。
本当はその人が何をしているのか。行いを見るべきなのかもしれない。
とはいえ、ついつい噂や見た目で判断してしまう。
そういう意味では人は行いを見るのが苦手なのかもしれない。

それをこの小説を通して考えさせられた。

染井為人(そめいためひと)
1983年千葉県生まれ。芸能マネージャー、舞台演劇ミュージカルプロデューサーなどを経て、2017年「悪い夏」で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞。同名作で小説家デビュー。その他著書に「正義の申し子」「震える天秤」「正体」「海神」「鎮魂」などがある。

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