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『嘘つきジェンガ』 辻村 深月

STORY
詐欺をめぐる3つの物語。
「ロマンス詐欺」
大学進学のため山形から上京した「加賀耀太」だったが、4月7日、緊急事態宣言が発令されてしまう。入学は延期され、授業やサークル活動どころか、バイトすら始められない。

「五年目の受験詐欺」
「紹介は詐欺だったんです、私たち、騙されたんですよ」ー電話口でそう告げた女の声に「風間多佳子」は驚愕した。詐欺と言われてもにわかには信じられなかった。なぜなら「大貴」は志望校に合格したのだから。

「あの人のサロン詐欺」
「紡」はオンラインサロン「谷嵜レオ創作オンラインサロン オフ会」を主宰している。谷嵜レオとファンとの非公式な交流イベントだったが、谷嵜のようなクリエイターに憧れる彼らの質問を受けるうち、いつの間にか創作講義がメインとなった。

audible

と長くなったが、3つの物語で語られる詐欺のお話となっている。

「ロマンス詐欺」
純粋がゆえに葛藤し、悩む。こうゆうのってあるな〜と思った。
先輩の頼みでシブシブやらされたり。断ったらどうなるか分からない恐怖。良心的にやりたくないこととの板挟み。

「五年目の受験詐欺」

誰にも相談できないがゆえに悩む。もっと話ができていたら。
もっと冷静になれていたら。と後から後悔する。

高校生になる息子との掴めない距離。
愛情が空回りしたり、愛情で救われたり。
愛情を持って冷静になんてなかなかなれない。

「あの人のサロン詐欺」
人気漫画家の極秘のサロン会。
実は、子供部屋おばさんだったり、それ以上に…。
全てがうまくいかなくなる。今まで築き上げた現実を一発で壊してしまう一撃。誰にも知られたくなかった秘密が晒される恐怖が現実となる。それでも生きていく。

どの物語も共通して感じるのは、秘密がバレることである。
知られたくなかった事実が知られたくない人にバレる。
静かに責められる。声を荒げて責められる。たくさんの人から責められる。

正しいことを言われたら何も言い返せない。
正論は暴力だと感じた。それでも許してもらい生きていかないといけない。責める人も許してもらう人も愛情が根っこにあれば、もしかしたら最後の最後で、ギリギリのところで居場所があるのかもしれない。

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