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『春にして君を離れ』 アガサ・クリスティー 著

ストーリー
優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…。

amazonより

アガサ・クリスティーといえばミステリーだが、この小説はミステリーではない。旅の途中、何もない田舎で足止めをくらい、何もないがゆえに自分自身と向き合うハメになる。自分のしてきたことを振り返ることで、自分自身に気付いていく。

自分のことしか考えず、自分が1番正しいと信じ、他人を認めない主人公ジョンの物語。

この本を読んでいて感じるのは自分自身はどうなのか?と考えさせられること。自分にジョンと同じ部分はないだろうか?
自分の行いは他人にどう影響しているのか?
困ったときに誰か自分を助けてくれるのだろうか?
助けてくれるなら誰が助けてくれるだろうか?


たいくつな時間があったとはいえ、ジョンは自分と向き合いう心を持っていたことは素晴らしい。仮に自分と向き合おうと思ってもテレビやゲームで時間を使い時間を消化していく。時間を作ってみても違うことが気になりスマホで検索。結局は注意散漫で終わらせる。うまくいっても自分を責めるような結論は出さない。

自分を戒めるためにも、この本は何度も読みたい。

ラストはとても秀逸でリアリティを見せつけて幕を下す。
このラストがあるからこそ、恐ろしくなり自分を振り返ってしまう。
本当に今の自分で大丈夫なのか。

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