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『死が三人を分つまで』 ケイティ・クティエレス 著

STORY
2019年7月、売れない犯罪実話ライターのキャシーはひとつの記事に目をとめた。テキサス州南部の地方紙が、1986年8月に起きたアルゼンチン人男性銃殺事件の背景を探っていた。二人の男と重婚した女性ローレ、彼女の夫によるもう一人の夫の殺人。全ての原因となったローレは取材を拒否していた。もし彼女の視点で事件を書けたら? キャシーはローレに接近し、事件当時のことは話さない条件で取材権を得た。ともに秘密を抱えた二人の女性の対決はやがて…。

audible

重婚をしていて事件の原因をつくったとされるローレを売れない犯罪実話ライターのキャシーが取材する。
ローレは当時のことを語りながらもキャシーに個人的な質問をすることでキャシーは影響を受けていく。

ローレの言っていることのどこまでが真実か?
それとも、関係者が少しずつ勘違いをしているのか?
『ミステリと言う勿れ』で「真実は人の数だけある」って言ってたっけ。

そして、お互いがお互いに影響し合い思いもよらないところに行き着く。

読んでいてたくさんのことを感じたし考えた。
母親の自由。同時に二人を愛してしまった現実。正しいとは何か。
犯罪が起きてしまった理由。

全てに言えることは、「愛」が原因で起きている事実。
愛により重婚をし、正しくないとわかっていながらも正しくいられない。愛がゆえに助け合い。愛がゆえに犯罪を犯してしまう。

愛は人を救うかもしれないが破滅させるのも愛かもしれない。


美しく描かれているので二人同時に愛してしまうこともあるよねって感じるかもしれないが、いけないことには変わりない。
「一夫一妻制は動物界から見ると…人は考え過ぎている。」みたいに書かれているが、これは違う。話のすり替えでしかない。

ルールがあるなら守る。守らなかったら怒られる。
これでしか社会は正常ではいられない。
時代が変わり必要ならルールを変えていくしかない。
そして、ルールを変えるにはルールを破りたい人がたくさん必要になる。

卑猥な表現があるので大人にしかオススメしないが、いろいろ考えさせられる良い小説だと思う。

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